2014年9月4日木曜日

ミズーリの『長い暑い夏』が語ること

こころをつなぐ英会話メルマガ
今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~ミズーリの『長い暑い夏』が語ること~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.英語で一言
~Uniqueの一言に気をつけよう~

4.山久瀬洋二お薦めの一冊
~グローバルエリートのビジネス・キーワード100
成功を収めたリーダーたちの言葉の使い方~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「ミズーリの『長い暑い夏』が語ること」

です。


【海外ニュース】



Michael Brown's funeral: Hope, tears and a call for social change.

訳:マイケル・ブラウンの葬儀、希望と涙、そして社会変革への声の中で (CNNより)


【ニュース解説】

8月25日、アメリカでは国中がある葬儀に注目していました。

去る8月9日、アメリカの中西部、ミズーリ州で、マイケル・ブラウンMichael Brownという18歳の黒人少年が、白人の警察官に射殺されたのです。

事件発覚当初、地元の警察は狙撃した警察官の名前を秘匿し、狙撃が正当であったことを主張しました。しかし、被害者が丸腰であったこともあり、警察の行為は、黒人への差別だと人々は憤慨します。

やがて、抗議の群衆は暴徒化し、混沌turmoilが世界に報道されたのです。

ジェイ・ニクソンJay Nixon州知事は、非常事態宣言を発令し、警官隊を導入して鎮圧に臨みますが、それが人々の怒りに油を注ぐことになりました。

実際に事件は、当初の発表のように、警察官が正当な行為として発砲したのか、それとも無抵抗の被害者を射殺したのかはっきりしません。

FBIも調査に乗り出し、司法解剖を行い、少なくとも、被害者は6発の銃弾を被弾し、そのうち2発は頭部に命中したことが明らかになりました。

このことから、どのような状況であれ、警察の行為は過剰だったのではと世論は傾きます。

ニューヨーク生まれで、公民権活動家であるAl Sharpton牧師は、葬儀で暴徒の行為を批判し、

"You don't understand that Michael Brown does not want to be remembered for a riot."
 (君たちは、マイケル・ブラウンが暴動の代名詞として人々の心に残ることを望んでいるのか)

と、暴走を強く戒めました。そんな声もあり、なんとか緊張は溶け、これから事件の真相への調査が始まります。

60年代に、黒人を中心としたマイノリティminorityの人権向上を求めた公民権運動がおきたとき、アメリカでは怒る黒人系の人々が各地で暴徒となり、それは「長い暑い夏」Long and Hot Summerと呼ばれました。

今回の暴動は、当時のことを思い出させます。

事件は、1992年4月に、ロサンゼルスで黒人系のロドニー・キングRodney King氏に暴行を加えた警察官が無罪になったことに怒った人々が暴徒と仮した、「ロス暴動」LA Riotとも酷似しています。

アメリカは、公民権法が発足して以来、人種、性別、国籍、宗教、年齢、性的趣向などをもとに人を差別してはならないという意識を、社会が受け入れてきました。

それは法的な拘束力と共に、職場や公共施設、レストランや商店などの公の場での常識となっています。

実際、アジア系など、元々マイノリティとされてきた人々への露骨な差別は、今では、殆ど見られません。

しかし、社会の底辺におかれてきた黒人系の人々の、元々社会的に優位な立場にあった白人系への不信感だけはなかなか拭えません。

しかも、残念ながら、黒人系の人々が経済的なハンディキャップを克服できず、多くが犯罪率の高い地域で生活していることも事実です。

そして、治安の維持にあたる白人系の警察官は、黒人系の人々の憎悪に緊張を強いられる一方、黒人系の人々はそれが故の白人系の警察官の態度に恐怖や怒りを覚えてしまうという、悪循環が常に繰り返されます。

こうした環境の中で、いつも暴発の悲劇の引き金になる「銃社会」。

日本では警察官の銃は「おかざり」であるといっても過言ではありません。

でも、一歩海外に出れば、状況は異なります。

私は、以前、ある白人系の人が当時の私のオフィスで銃を目の前において実弾を入れたとき、その人が単に銃を私に見せようとしていただけだとわかっていても、いいようのない恐怖を覚えたことを忘れません。

また、ニューヨークのブルックリンで、今回と同様の暴動を取材したとき、防弾チョッキをきて、自動小銃をもった警官の緊張に強ばった顔も忘れません。

そして、私自身、カメラマンと共に暴徒に囲まれ、正にドライバーの機転で車を車道から歩道に乗り上げて、その場を脱出した時の恐怖も忘れません。

映画で、銃を向けられただけで自白する人をみて、バカバカしいと思う人は、平和に慣れた日本の中だからこそ、そういえるのだと私は断言できます。

幸い、日本人の殆どは、実弾の入った銃を向けられたときの恐怖を知らないのです。

まして、今回、被害者となった黒人の少年が、白人警官に銃を向けられたとき、それはどれだけの恐怖だったでしょう。

ですから、パニックになった黒人少年と、同じく緊張の糸の張りつめた警察官とが、お互いにどういったいきさつで悲劇をおこしたか、なんとなく想像にかたくないのです。

アメリカ、いえ、世界各地の戦場など、銃がものをいうあるあらゆる社会で、こうした悲劇が繰り返されています。

今回の事件は、公民権を徹底させながらも、何度もこうした事件が勃発するアメリカ社会の矛盾をこえた課題であることを、我々に突きつけているのです。


バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)

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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

“I am so thrilled” is the excellent expression when you receive any idea or proposal that you really like.

【日本語tweet】

相手から提案や誘いなどを受けたとき、それを心から嬉しく思うなら、ただThank you という前に、I am so thrilledという表現などを使うと、その高揚感が相手に伝わります。
特にやりとりが事務的になりそうなメールでは、こうした表現はよいアクセントになるはずです。


山久瀬洋二twitter はこちら

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 3.英語で一言

今回のテーマは、

「Uniqueの一言に気をつけよう」

です。

私の今までの経験で、日本人は自らのことを説明するときに、uniqueという表現を使いがちです。

例えば、仕事で何か提案を受けたとき、

I think it is difficult because we have a unique market in Japan.

なんていいがちなのです。

日本の特別な事情を説明することが難しいために、こうした表現に頼ってしまうのでしょう。

実は、この表現は最低です。

まず、difficult と曖昧に言って、しかもuniqueと自らを特別視して相手に伝えている、二重の意味で「誠意のない拒絶」を相手に伝えているからです。

日本人は日本語でも「日本の特殊な事情が」などといって、自分たちを特別なものと意識する傾向があります。こんなときの、海外の人の反応は、

Japan is unique? Every country is unique!!

ということになります。そしてそれはごく公平な反応だといえますよね。

確かに、日本には海外にはない産業構造や、自然環境、そして文化的特徴があります。

でも、それは世界のどこの国でも同様で、それぞれの国に他にはない特殊なものがあることをまず前提として意識してコミュニケーションをしたいものです。

ですから、

As you know, every country has a different market. We have it in Japan.

などと言って、さらにFor example,-----と具体的な事例を示しながら説明し、相手に理解をもとめるようにするべきではないでしょうか。

今回は、「英語で一言」ではあるものの、誤って使いがちな一言を紹介しました。

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 4.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「グローバルエリートのビジネス・キーワード100: 成功を収めたリーダーたちの言葉の使い方」

です。

実践ですぐ使えるような具体的な例文や、キーワードを使った著名なビジネスパーソンの発言も多数紹介!

グローバル・ビジネス用語の中には、ピッタリの訳語がなく英和辞典にも載っていない言葉が多く存在します。

ビジネス上重要なこれらの用語を正しく理解しないと、仕事の成功を妨げてしまうことも…そのような重要な意味を持つキーワードを100語精選し、海外とのビジネスの現場でどのように使われているかを解説しました。

ビジネスに役立つトリビアも満載です。

「日本人はとても micromanagers です!」

「すみませんが、micromanager とは何ですか?」

経営コンサルタントの仕事の一環として、日本企業のためにトレーニング・セミナーや teambuilding セミナーを行うことが多いのですが、そういった場で上記のようなアメリカ人と日本人の会話を頻繁に耳にします。

アメリカ人が発する言葉には、使っている彼らにとっては重要な意味を持っていても、英語が得意な日本人にさえ“本当の意味”を理解できないものが多いようです。

それによって変な誤解や摩擦が生じてしまわないかとハラハラすることも多々あります。

--- 著者序文より

グローバルエリートのビジネス・キーワード100
成功を収めたリーダーたちの言葉の使い方
著者:ロッシェル・カップ
価格:1,728円

↓↓ 中身はこんな感じです。↓↓



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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

他多数




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