2014年9月18日木曜日

民族国家と近代国家、ヨーロッパの抱える潜在リスク

こころをつなぐ英会話メルマガ
今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~民族国家と近代国家、ヨーロッパの抱える潜在リスク~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.英語でどう語る?「日本の文化」
~気配り~

4.山久瀬洋二お薦めの一冊
~1日10分「英語回路」育成計画:超音読レッスン 世界の名作文学編~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「民族国家と近代国家 ヨーロッパの抱える潜在リスク」

です。


【海外ニュース】



Soccer Fans Supply Strong Voice in Scottish Independence Debate

訳:サッカーファンはスコットランドの独立の是非をめぐり強いメッセージを発信 (New York Times より)


【ニュース解説】

今になって何をと多くの日本人は思うでしょう。

しかし、このニュースには世界中が注目しています。

スコットランドが今月18日に独立の是非を問う住民投票independence referendumを実施するのです。

しかも、独立支持派が結構優勢というからびっくりです。

スコットランドの人々は、英語を話すものの強いスコットランド訛があり、そのアクセントのために現地の人との会話はとても骨がおれます。

そもそもスコットランドは1707年までは独立国でした。

イギリスの正式名称を、United Kingdom というように、イギリスはイングランド、ウェールズ、スコットランド、それに北アイルランドが合併して成立した「多民族国家」なのです。

あるときスコットランド出身の人と会話をしていると、English manという言葉がでてきました。

つまり、自らをThe Scottish(スコットランド人)として意識して、いわゆるイギリス人のことをそう呼んでいたのです。

彼らの多くは、自分たちがBritishと呼ばれ、あたかもイギリスの一員として扱われることを好みません。

イギリスが、伝統的にアイルランド系の人々が多く住む、北アイルランドでの分離独立運動に悩まされてきたことはよく知られています。

この地域では、それが流血事件にまで至るため、例えば企業の内規として、従業員が政治的な会話をすることを禁止している事例も多くあります。

しかし、分離独立運動は、北アイルランドだけではなかったのです。

イギリス東部にあるウェールズもスコットランドと同様に独立運動がないわけではありません。

ウェールズの人々は伝統的にWelshと呼ばれる言語を話し、民族としての強いアイデンティティを有しています。

「イギリスはいずれ、スコットランドと北アイルランド、それにウェールズが独立し、ロンドンを中心とした小さな国家になるだろうね」

ロンドンのある出版社の社長が以前そう言っていたことを思い出します。

さらにこの問題は、ヨーロッパ中を震撼させていることを忘れてはなりません。

スコットランド問題に呼応するように、先週にはスペインのカタルーニャ地方の分離独立運動が火を噴き、バルセロナをデモ隊が埋め尽くしました。

そのスペインには伝統的にバスク地方の独立運動もくすぶっています。

そもそも中世には数えきれない王国があり、言語も今以上に多様であったヨーロッパ。それが分離や統合を繰り返しながら現在の国々にまとまったのです。

それは、ちょうど日本にアイヌがいて、沖縄があり、それぞれが日本という国家に統合されてゆく過程と比較しても、遥かに多様で複雑でした。

それだけに、スコットランドが独立となれば、ヨーロッパ各地で、さらにはカナダから分離を求めるケベック州などを含め、欧米全体にその影響がでるのではと指導者達は固唾をのんで成り行きを見詰めているのです。

Scotland's First Minister Alex Salmond said the independence referendum was "a once in a generation opportunity"
(スコットランドの首相にあたるファースト・ミニスター、アレックス・サモンドは、独立の是非を問う住民投票を一生に一度の好機だと言明)

と、イギリスのBBCも総力取材を続けています。

アレックス・サモンドはScottish National Party(スコットランド国民党)の党首で、スコットランド議会の多数派の代表として、国家でいえば首相にあたるファースト・ミニスターに就任しています。既にスコットランドには相当の自治が保証されているのです。

スコットランドに本拠地をおく多くのイギリス企業が、スコットランドが独立をしたときは本部をイングランドに移転させると表明している一方、スコットランド系の金融機関は、独立したスコットランドの経済はむしろ好転するだろうと反論。

政治のみならず、経済的にも論争の波紋は拡大しています。

民族国家が近代国家に変貌するときに包含した多様な人々。

その分離独立運動が物語ること。それは人々の右傾化なのか、それとも民族の伝統と権利を尊重する民主化なのか。

問いへの答えはまだみえてこないのです。


バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)

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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

When Japanese say it’s difficult, it means it’s impossible”. Many westerners consider, “If it’s difficult, how we can make it possible”.

【日本語tweet】

「それは難しいですね」とか「考えてみます」と日本人がいうとき、多分にその意味するところはNo。しかし、海外では多くの場合「難しいか、ではどうすれば可能になるのか」とか「考えるのだからもっと売り込もう」と思われます。日本人の抑制した表現は、物事をさらに複雑にすることもあるのです。


山久瀬洋二twitter はこちら

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 3.英語でどう語る?「日本の文化」

今回のテーマは、

「気配り」

です。

「おもてなしの精神」にも直結する「気配り」。

気配りがなければ、おもてなしはできないよね。

でも、この「気配り」に何故日本人はそこまで長けていると思っているのか。

実はそこには理由があるわけ。

だって、日本って島国でしょ。島国で、住人のほとんどは日本人。しかも、地方の自治といっても、教育制度をみるとわかるけど、全国津々浦々同じ教育のシステムで動いている。

つまり、それだけ同じ民族で、同じ制度を共有してくれば、自ずとお互いの物事への感じ方や、判断の基準が似てくるわけ。

だから、相手に接したとき、どう気配りをすればいいかが、実に解りやすい。

ここが、多様な移民や民族の混在する大陸の国々とは大きく違うんだということを、まず知っておかなければ「気配り」の精神は、うまく説明できない。

ここで「気配り」を説明するにあたって、こうした日本の特殊性を意識し、あまり自慢げに説明しないことが肝要だ。

とはいえ、これはなかなか説明困難な概念。

まず、「気配り」を直訳するとどうなるだろう。

気配りとは、相手のへの配慮を意味するわけだから、例えば、”Showing consideration”としてみてはどうだろうか。

つまり、
Kikubari means the concept of “showing consideration”.

からはじめてみよう。もちろん、さらに詳しい説明が必要。

ここで思い出して欲しいのが、前回の「おもてなしの精神」の項で使ったattentivenessという単語。つまり、attentivenessが、「相手のことを思いやる」という意味をもち、気配りの考え方に非常に近いことを思い出そう。

しかも、「気配り」は、行動によって示す行為だ。

そこで、Kikubari must be shown through action. という文章を前において“attentiveness” の精神を解説してみる。

Kikubari must be shown through action. It begins with attentiveness and ends in showing consideration. In other words, kikubari is the behavior resulting from attentiveness to the feelings of others.

しかも、気配りは「さりげなく」する行動。

相手に「気をつかっているぞ!」と表現すると、それは逆に相手に気を使わせることになり、「気配り」の精神に反してしまう。 つまり気配りは「目立たない」、そそとした行為なのだ。

であれば、inconspicuous「目立たない」という単語があてはまる。

Kikubari is an inconspicuous sign of affection. なのだ。

かなり具体的になってきた。では、今までのところを全て、まとめて「気配り」を解説してみよう。

Kikubari means the concept of “showing consideration”. It must be shown through action. It begins with attentiveness and ends in showing consideration. In other words, kikubari is the behavior resulting from attentiveness to the feelings of others.

そして、気配りが控えめな行動だと説明する理由を述べてみる。つまり、なぜさりげなくしなければならないかを解説してみるとより、気配りの解説に深みがでてくる。Inconspicuousという単語を使って。

Let’s say you wish to show someone consideration but you do it in a rather obvious way. The result may be that the other party feels a sense of obligation. Therefore, Kikubari must be an inconspicuous sign of affection.

では、また来週。

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 4.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「1日10分「英語回路」育成計画:超音読レッスン 世界の名作文学編」

です。

速読力、速聴力を強化することで脳を活性化して、英語の処理スピードを格段に向上させる「英語回路」育成計画シリーズの13作目です。

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1日10分超音読レッスン
世界の名作文学編
著者:鹿野晴夫
監修:川島隆太
価格:1,728円


筆者「トレーニングの前に」より

私自身、中・高・大と、英語が大の苦手。会社員になり、29歳で初受験したTOEICは、335点でした。そんな私ですが、1年610点、2年3か月で730点、3年半で850点になりました。そして開始から7年で900点を超えることもできました。各レベルでトレーニングの内容は多少違うものの、本書で紹介のトレーニングは、ずっと続けてきました。


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

他多数




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