2014年8月26日火曜日

『対日モデル』の失敗が影響するアメリカの中東政策

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~『対日モデル』の失敗が影響するアメリカの中東政策~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~『赤毛のアン』の名言で学ぶ英語~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「『対日モデル』の失敗が影響するアメリカの中東政策」

です。


【海外ニュース】



Islamic State stands with al-Qaeda as one of the most dangerous jihadist groups, after its gains in Syria and Iraq.

訳:アルカイダ系の「イスラム国」は、その勢力がシリアとイラクに拡大したのち、最も危険なイスラム原理主義者のグループとして勃興 (BBCニュースより)


【ニュース解説】

中東情勢について、今イラクとシリアでおきている最も深刻な問題を見詰めてみましょう。

様々なメディアがこのことを報道していますので、私は、日本と中東とアメリカという視点に立って、この現象を分析します。

実は、アメリカの世界戦略の根本にあるトラウマは、戦後の対日戦略にその原点があります。

アメリカは、第二次世界大戦終結後、とにかく差し迫る冷戦の脅威に備えるため、日本の再軍備と、アメリカの衛星国家としての国家再建に注力しました。

それは見事に成功し、今アメリカは日本があるがゆえに、極東の安定が保証されていると考えます。

そんな対日政策の第一段階は、旧軍国主義勢力の掃討でした。

そして民主国家となった日本を今度は軍事的に自らの勢力下に置いていったのです。

これが大成功であったために、以後アメリカは混乱する世界に対処するときに、常にこのモデルを意識的にも、無意識にも念頭においてきたのです。

イラクが陥落し、サダム・フセインが失脚したとき、多くの関係者は、この「対日モデル」を例示しました。

サダム・フセインの残存勢力をまず掃討し、その上でイラクの民主化を進め、アメリカの影響化においてゆくという方針を徹底して打ち出したのです。

そのために犠牲になったのが、サダム・フセインの出身母体であったスンニー派の勢力でした。

アメリカが移行措置として支援したシーア派寄りの政権が、スンニー派を排除した結果、スンニー派が多く住んでいた北部イラクに、新しい政府に反発する人々に支援された武装集団が育成されてゆく一つの原因を作ったのです。

そして、元々シーア派もスンニー派も共存していた社会に大きな亀裂が生まれます。

そこにおきたシリアの混乱。スンニー派の過激な集団は、シリアの混乱に乗じて両国で勢力を拡大。シリアとイラクをまたぐ Islamic State「イスラム国」の形成を宣言させるまでに至ったのです。

この二カ国をまたぐ勢力が、ISISという過激なグループなのです。

「対日モデル」以来のアメリカの世界戦略のモデルの見直しが、今急務なのです。

「対日モデル」は、極東の島国で、単一民族の日本であれば、正にうまく機能し、いわゆる最も「純粋な」モデルとなりました。

しかし、それを複雑な宗教、民族背景のある中東に応用することは、とんでもない混乱の原因になります。その代償を今アメリカは突きつけられているのです。

我々日本人は、こうしたアメリカに庇護された国家の中で、国際情勢を簡単な方程式でみようとする傾向があります。

北朝鮮問題を例にとれば、北朝鮮の核は日本への脅威で、アメリカと日本とが連携して対応すべきという「対日モデル」を意識します。

それは一面では正しいかもしれません。

しかし、北朝鮮の核の問題の本質は、経済とテロとの繋がりにあります。

核開発で得た技術を北朝鮮が、自国の経済的基盤の維持のために使用し、それが中東などに流れてゆくことが、最も大きな懸念材料なのです。

こうした世界レベルでの資金と技術の動きが、今やISISを世界で最も危険とされる軍事集団に育てあげたのです。

つまり、中東問題と北朝鮮問題は、世界を震撼させるテロの課題として見事にリンクするのです。

国際政治を見詰める時、こうした平面図に拡大する複雑な点と線を鳥瞰する技術が今「対日モデル」の傘下にあって視力を失いつつある日本には必要です。

このBBCニュースの見出しにあるように、アルカイダ系のイスラム原理主義者 jihadist group が活動は、今や西側世界の最も深刻な脅威となっています。

そして、アメリカからの報道によれば、この脅威に対処するために、オバマ政権はシリアへの介入も含め、本格的な空爆作戦を展開するということです。

国際戦略は、一度こじれると簡単には元にはもどりません。

まして、パレスチナ問題以来こじれ続けた中東の和平の実現には相当の知恵が必要です。

ある意味で、ウクライナ問題で対立するロシアとの協調の道の模索も今となっては必要です。

空爆などの対症療法に終始しているアメリカも、心の中では中東への「対日モデル」の適応が失敗であったことを、既に実感しているのではないでしょうか。


バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)

●目次に戻る

 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

Without real experience in the real world, people cannot develop the skill of English communication. Do not be afraid of making a mistake.

【日本語tweet】

英語を使い海外でコミュニケーションをすることは、ゴルフやサッカーを学ぶようなもの。打ち方やパスの回し方など、理論や方法をいかに口頭で学んでも、実践ではうまくいきません。経験を積む中で、場数を踏み、失敗し、フェイントをかけられ、驚く中で、学んだことの是非もわかり、力もつくのです。


山久瀬洋二twitter はこちら

●目次に戻る

 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「『赤毛のアン』の名言で学ぶ英語」

です。

不朽の名作『赤毛のアン』には名言がいっぱい。

前向きで想像力と感受性に溢れるアンと、アンを取り巻く人々の言葉を味わい、数々の名シーンを思い出しながら英語を学んでみませんか?

人生を楽しみ、有意義に生きるヒントも見つかるかもしれません。

名言筆写スペースと下敷きシート付き。「音読筆写」学習法を『赤毛のアン』の名言で。音読筆写で英文をゆっくり追って練習すると、英文の構成の感覚を掴み、スペリングも自然に身に付きます。

初めのページからストーリーを追っても、気に入ったページだけ読んでいただいても、十分楽しんでいただけるように、構成や解説を工夫しています。 のんびり英語を追いかけたい人、しばらく英語から離れていた人にもピッタリの1冊。

「赤毛のアン」の名言で学ぶ英語
著者:新井 えり
イラスト:Ery
価格:1,512円

中味はこんな感じです。↓↓↓

●目次に戻る

今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

他多数




0 件のコメント:

コメントを投稿