2017年5月23日火曜日
移民パワーを知らずしてアメリカは語れない イランの大統領選挙を注目する理由は?
【海外ニュース】
Rouhani on pace to win re-electionin Iran.
訳:イランでロハニー氏が順調に再選される
(New York Timesより)
【ニュース解説】
アメリカの世界戦略を理解することは、英語を学ぶ人にとって、海外の人との話題についてゆく上でも大切なことです。
今回はイランでの大統領選挙のニュースを例にとって、解説をしてみましょう。
そもそも、なぜイランの選挙がアメリカの外交戦略に関係するのかと思う人も多いかもしれません。その答えは、アメリカという国の成り立ちを振り返ればわかってきます。
アメリカの外交を考えるとき参考にしたいのが、アメリカが移民国家であるという実情なのです。
今まで世界で騒乱がおきると、そうした地域からアメリカに移民が流入してきました。例えば、1959年にキューバで共産革命がおきると、それを嫌った人々が大量にアメリカに流れ込みました。ベトナム戦争が終結し、当時の北ベトナムが南ベトナムを占領すると、多くの人がアメリカで新たな生活にチャレンジしました。
そして、1979年にイランで革命がおきたときも、同様に大量の人々がアメリカに移住したのです。
彼らに共通していることは、革命で倒された政権が元々アメリカの支援を受けていたことでした。イランの場合、革命以前はパーレビ国王が統治する王国で、アメリカはソ連への防波堤として軍事的にも経済的にも国王を支援していたのです。そうした中で、アメリカの影響を嫌い、イスラム教の伝統に基づく国家建設をスローガンに、民衆が蜂起したのがイラン革命でした。
キューバにしろ、当時の北ベトナムにしろ、そしてイランにしろ、政変の後アメリカはそうした国々と国交を断絶し、経済的な制裁を加えてきました。
アメリカに移民してきた人々は、政変で祖国を追い出された人々なので、アメリカの動きに同調します。彼らはアメリカで市民権を獲得し、有権者としてアメリカの政治にも影響を与えるようになってゆきます。
アメリカが複雑な外交戦略を遂行するとき、そうした移民の有権者、そして、元々は移民であった専門家の影響が常に介在しています。
今、西海岸などを中心に47万人以上のイラン系アメリカ人が住んでいます。彼らの多くは、現在のイラン・イスラム共和国を否定し、自らのことをイランの伝統的な国名であるペルシアの人 Persian であると主張します。
そして今回イランで大統領選挙があり、現職のロハニー氏 Hassan Rowhani が大差で再選されました。イランを逃れ、アメリカに移民してきた人は、ロハニー氏の再選をイランの国際化の証として歓迎しているはずです。もっとも、イランの場合は、大統領といえども、宗教的な最高指導者であるハメネイ師 Ali Khamenei の権限を超えることはできません。しかし、ロハニー大統領が保守派の候補者を抑えて大差で再選されたことは、今までのイスラム至上主義政策にも、少なからぬ影響がでてくるはずです。
ところで、この穏健派で西欧諸国と融和政策を進めてきた大統領がイランで再選されているまさにその時、アメリカのドナルド・トランプ大統領はイランの隣国サウジアラビアを訪問していたことも忘れてはなりません。
トランプ大統領が、イスラム諸国からの入国制限を強行しようしたことはまだ記憶に新しいはずです。その中には、イラン国民も含まれていました。オバマ前大統領のときに、両国は関係改善の道を模索していただけに、この決定は世界に大きな衝撃を与えました。
ところが、今回サウジアラビアでトランプ大統領は、過去のイスラム教への敵意を露わにしたかのような発言を大きく変更しました。イスラム教とイスラム過激派とをはっきり分けて、イスラム社会にも敬意を表し、サウジアラビアや湾岸諸国との友好関係も強調したのです。
大統領に就任し、複雑な国際関係のあらましを知るに従って、トランプ大統領の従来の強硬姿勢にブレーキがかかりつつあります。
アメリカのイラン系の移民、さらには300万人以上といわれるイスラム教系のアメリカ人の存在を、トランプ大統領は意識したのかもしれません。
ロハニー大統領は、今後さらにイランと西欧諸国との関係正常化を模索してくるはずです。ちなみに、トランプ大統領が訪問したサウジアラビアは、イスラム教の中でもスンニ派が主流となっている国家です。それに対してイラン人の大多数はシーア派です。この二つの国家は、常にイスラム圏では対立項におかれていたのです。一筋縄ではいかないのが外交戦略というわけです。
最後に、オランダやフランスの大統領選挙でポピュリズムに乗った右傾化に待ったがかかったことと、今回のイランでのロハニー大統領の再選劇には共通した世論の動きが見られることも強調しておきましょう。それは右傾化し世界から孤立してゆくことに対する警戒感です。
右傾化にストップがかかることは、特に祖国との絆の深いアメリカの移民一世にとってはありがたいことのはずです。
そして今、トランプ大統領は支持率の低下に悩んでいます。複雑な政治経済環境の中で、なかなか公約が実施できないことと、彼自身にかけられたロシアとの癒着などの嫌疑への国民の戸惑いが支持率低下の背景にあるのです。
再選されたロハニー大統領が、アメリカに亡命した人々も視野にいれながら、トランプ大統領にどんなボールを投げてくるか。今後の動向が気になるところです。
2017年5月16日火曜日
英語の未来を考えよう。これからも英語は世界の言語として君臨するのか・・・?
最近、世界の動きが読みにくくなっています。
特にヨーロッパの政情は混沌としています。イギリスのEUからの離脱という激震の後、オランダやフランスの選挙では、右傾化の流れをなんとか食い止めることができましたが、今後EUが今まで通り安定した体制を維持できるかは不透明です。EUはかじ取り役としてのドイツとフランスの連携がさらに求められるようになるはずです。
一方、一時は世界のGDPの半分を生み出していたアメリカの影響力が、21世紀になって陰り始めてきたことも考えなければなりません。アメリカは以前のように世界の警察官としての強いリーダーシップをとれなくなっています。20世紀の混乱を克服した中国の伸長が著しく、アメリカに次ぐ経済力によって存在感を誇示していることもその理由の一つです。そして、ロシアがソ連崩壊後25年を経て、再び強国として台頭してきたことも忘れてはなりません。
こうしたイギリスやアメリカという英語を母国語とする強国の立ち位置の変化をみるとき、今後も英語が世界の言語としての地位を維持できるのだろうかという疑問を抱く人もいるかもしれません。世界の人々の共通言語として、いつまで英語は機能できるのでしょうか。
英語が世界を席巻した理由は3つあります。
最初の理由としては、19世紀に世界の工場として産業革命をリードし、各地域で植民地を経営していたイギリスの影響があげられます。イギリスは、英語が世界中に流布する土台をつくったのです。
次に、アメリカの存在です。20世紀、アメリカは世界最大の経済大国、そして軍事大国として君臨しました。ヨーロッパが古い政治体制からの脱皮にもがき、二つの世界大戦で致命的な打撃を受けていたとき、アメリカは広大な土地と移民の活力で成長し、戦争に明け暮れる旧世界に対して世界最大の債権国となったのです。このことが、ビジネス上の共通言語としての英語の地位を盤石にしたことはいうまでもありません。
であれば、イギリスに次いでアメリカの地位までもが相対的に陰りつつある状況が、世界言語としての英語の地位に影響を与えるのではいう懸念も生まれます。
しかし、ここで3つ目の理由に注目する必要があります。それは、英語が、ヨーロッパ系の多数の言語の終着点に位置しているということです。それがゆえに、英語は今後も世界の共通語として進化するのではと思われるのです。
詳しく語ってみます。
英語はもともと中部、そして北部ヨーロッパで活動していたゲルマン系の人々の言語にそのルーツがあります。ローマ時代の後期、ゲルマン人がヨーロッパ全土に移動したとき、イギリスにもアングル人、ジュート人、サクソン人といったゲルマン系の人々が住み着きました。5世紀頃のことです。彼らの言語が古英語と呼ばれ、いわば現在の英語のプラットフォームの役割を担ったのです。古代の英語のプラットフォームに、当時の文明国であるローマからラテン語の語彙が取り込まれます。そして、その後ノルマン人がフランスからイギリスに侵入すると、中世フランス語がさらに取り込まれてゆくのです。
実は11世紀には、イギリスでは上流階級の人々はフランス語を公用語としていました。それが、イギリスがフランスから自立し、独立国家として成長するにしたがって、英語がフランス語にとって変わるようになったのです。したがって、古くからの英語のプラットフォームには、ドイツ語などのゲルマン系の言語のみならず、ラテン語やフランス語の語彙も数多く取り入れられたのです。
つまり、英語はその成り立ちからして国際的な言語だったというわけです。
そして、ヨーロッパ各地の言語が流入し成熟した英語は、もともと他の言語よりも比較的シンプルな文法体系を持つ言語として成長したのです。
この3番目の理由こそが、英語が国際語として世界に受け入れられてきた隠れた原因なのです。
中国は、古代に東アジアを中国語という言語によって席巻しました。そして現在13億人以上の人々が中国語を話しています。それに対して、英語を母国語とする人は5億人前後なのです。
それでも、中国人が海外でコミュニケーションをするときには英語を使います。そしてそのことに中国人自身が違和感を感じていません。英語はイギリスやアメリカという国籍を超えて、世界の人が違和感なく使用できる唯一の言語となったのです。それは、19世紀から20世紀にイギリスとアメリカによって英語が世界に拡散したことに加え、英語が多国語を取り入れて造られたシンプルで柔軟な言語だったからなのです。
最後に、今後イギリスやアメリカのような、軍事力だけではなく、経済力と指導力を駆使して世界でリーダーシップをとってゆく国家は当分現れそうにないことも特筆します。英語は、世界が二つの世界大戦の教訓から、ナショナリズムと言語や文化を融合させ他国へ強要することを、世界の多くの人々が忌避するようになる前に、世界言語としての地位を確立したのです。
ですから、例えば今になって中国が覇権を唱え、中国語を拡散しようとしても、世界はそれを単なる大国のエゴとしか捉えないはずです。もちろん、フランス語やドイツ語が英語に変わることはありえないでしょう。
ただ、今後、英語はそれぞれの地域や文化の中で新しいスラングや表現を生み出し、多様に変化してゆくことは考えられます。22世紀の共通語はおそらく英語でしょうが、表現方法にはいろいろな変化がみられるかもしれません。
言語は常に進化します。しかし、その根幹としての英語のプラットフォームは今後も世界に共有されてゆくのではないでしょうか。
2017年5月9日火曜日
I feel very very happy
I feel very very happy for France of course but also Europe. Today, is the fight between pro-Europeans and anti-Europeans.
2017年5月1日月曜日
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