今日の目次です。 1.ニュースなイングリッシュ ~Post Clod War が産み出す『ロシア・ナショナリズム』~ 2.Twitterえーわー! 二カ国語で同じ意味を同時tweet! 3.英語で一言 ~未来志向で “Get over it and move on !”~ 4.山久瀬洋二お薦めの一冊 ~BUSHIDO : The Soul of Japan 英文版 武士道~ |
では、始まりです。
1. ニュースなイングリッシュ |
海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。
今週のテーマは、
「Post Clod War が産み出す『ロシア・ナショナリズム』」
です。
【海外ニュース】
Referendum was held in Crimea in full compliance with international norms.
Everything in Crimea speaks of our shared history and pride.
訳:クリミアでのロシアへの併合の是非を問う住民投票は、国際基準にのっとった管理のもとで実施された。
クリミアに関する全てのことがらは、我々に共通した歴史であり、プライドなのだ。
(ウラジミール・プーチン大統領の2014年5月21日、クリミアの併合にあたってのスピーチより)
【ニュース解説】
日本では、アメリカからの情報はよく流れてきます。
しかし、中国やロシア、そして他の国々からの情報は、その気にならない限りなかなか入手できません。
例えば、ウクライナ問題を考えるとき、それはロシアの誤った行為ととられ、日本も完全に西側の世論に加わっていることから、ロシアが悪で、西側が善、そしてウクライナはその善と悪との間に挟まれた悲しい犠牲者というステレオタイプな図式を信じている人が多くいるはずです。
前回、patriotism と fundamentalism とが融合しつつある危機について、パリでの事件を元に解説しました。
Patriotismの高揚。それはロシアでも例外ではありません。
ウクライナ問題の一つである、クリミア半島のロシアへの併合は、それを煽り、多数のロシア人の支持によって断行されました。
ここで紹介した、プーチン大統領の2014年5月の演説は、クリミア半島が元々ロシアが投資し、ロシアの活動拠点であった場所であり、黒海へ展開するロシア帝国の艦隊の基地でもあったと強調し、国民の拍手喝采をあびました。
確かに、クリミア半島は、ソ連の時代、ロシアもウクライナも同じ主権で動いていた時代に、ソ連共産党のイニシアチブでウクライナ共和国に管理をさせた地域でした。
しかしソ連が崩壊し、ロシアとウクライナが異なる主権国家となった現在、元々の「両親」であったロシアに戻すべきだというのがプーチンの主張の背景にはあるようです。
ロシアとしては、こうした過去の縺れた糸を正視し、クリミア半島が自国のものであることを、理解して欲しいと国際社会に訴えようとしたのです。
東西冷戦は、ソ連の崩壊により、アメリカの勝利で終息しました。
ソ連崩壊のあとの混乱の中で、ロシア経済は低迷し、国内の民族運動への抑圧や、その結果として発生したテロ行為などで、社会は大きく揺れました。
プーチン大統領が、そうしたロシアを強いロシアへと変貌させようと、権力闘争を進めながらも、国内ではナショナリズム煽ってきたことは事実です。
アメリカには、そうしたロシアの一挙一動が、依然アメリカの傘の下にある西側諸国にとっての脅威と映ります。
従って、アメリカは、プーチン大統領のこうした行為を国際社会への挑戦として排除し、批判しようと西側の同盟国を使い、世論も含め包囲網を狭めていったのです。
去年おきたマレーシア航空砲撃事件は、そんな思惑への絶好の材料となりました。
Patriotism が敗退的な fundamentalism へと傾斜してゆくとき、必ずあるのが、一つの国家や民族が追い詰められてゆく現象です。
そして、過激な nationalism が、丁度ウイルスに毒性が加わるように fundamentalism へと変化し相手に伝染することもあります。
一方の nationalism に相手が対抗し、相手方にも nationalism を醸成し、お互いを排除しはじめるのです。
双方が刺激し合いながら過激な排他主義への傾斜がはじまるのです。
西欧とイスラム社会、極東での日本と周辺国、今回取り上げたロシアとウクライナなど、過去の縺れた紐どうしがきしみ合う中で発火するプロセスは、世界に共通した事実といえましょう。
また、別の視点でみるならば、歴史的事件や戦争での勝者は過去にこだわらず、敗者は過去にこだわる傾向があることも知っておきたいものです。
冷戦の敗者となったロシアは、クリミアの過去にこだわり、それを併合し、国民の patriotism、そして nationalism を刺激したのです。プーチン大統領のこの演説は、そうした政治的意図を象徴したものといえそうです。
こうした課題を乗り越える一言、それが英語でよく使用される tolerance、すなわち「寛容」という言葉です。
お互いの歴史やいきさつへの寛容性が機能しなくなりつつある昨今こそ、国際政治の場で、双方の当事者が、この言葉の意味をもう一度見直す必要があるはずです。
この課題、来週もアメリカ西海岸から、さらに続けます。
バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)
2.Twitterえーわー! |
毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。
【英語tweet】
Japanese love the expression of “a little bit” when they need to say something really serious. It’s their direct translation from Japanese.
【日本語tweet】
英語に慣れるまで maybe やa little bitといった表現は要注意。「多分」という曖昧な表現や、「少し心配」といった意味で深刻なことを語るのは日本人ならではの癖。Maybeやlittle bitはをれを直訳したもの。削除して真剣な、時には深刻な表情で意思を伝えましょう。
山久瀬洋二twitter はこちら
3.英語で一言 |
今回のテーマは、
「未来志向で “Get over it and move on !”」
です。
未来志向のアメリカ人。過去にこだわり、過去の問題の責任をまずはっきりさせてから未来に進むことをよしとする日本などアジア人と、この意識の違いがビジネスなどで摩擦を産み出すことがよくあります。
もともと未来を築くために移民として新大陸にやってきた人が集まるアメリカでは、過去をとやかく言ってもはじまらないという発想が育って当然です。
しかし、脈々と長い歴史を積み上げてきた国々では、過去へのプライド、さらには過去への執着が発想の土台にあるのも、これまた当然です。
過去があって、現在があり、そして未来があると考えるとき、そのどこに重きをおくかは文化によって異なるのです。
アジアの人々は多くが過去に重きをおき、アメリカや英語圏の人の多くは未来により興味を抱きます。
ですから、例えばビジネスの会話などで、我々が、過去におきたミスや問題をまず徹底的に検証しようという姿勢をとっても、相手はそれほど熱意を持って対応せず、こちら側はなんて無責任なんだと思ってしまうことがよくあるのです。
そして、その怒りを相手にぶつけても逆効果。却ってお互いのモチベーションに水をさしてしまうのです。
Get over it and move on. そうした彼らの意識を象徴しているこの一言。
「過去は過去、克服して前に進もう」というわけです。
この一言、逆に考えれば、相手が何か失敗したときに、元気づける一言として使ってみるのも一案です。
それでは、また。
4.山久瀬洋二お薦めの一冊 |
今週のお薦めは、
「BUSHIDO:The Soul of Japan
英文版 武士道」
です。
現在でも日本人の心を知ろうとするとき、真っ先に読まなければならない必読書とされている「Bushido」。
大きな活字と難解単語の語注つきです。
新渡戸稲造が、日本人の道徳観の核心となっている「武士道」について、神道や仏教あるいは儒教の精神を典拠としつつ、西欧の哲学や騎士道と対比しながら、日本人の心のよりどころを世界に向けて解説した名著。
戦前の国際連盟事務局次長を務めた責任感から、日本人を世界に広く知ってもらおうとして自ら英文で書いたものであり、現在でも日本人の心を知ろうとするとき、真っ先に読まなければならない必読書とされています。
当時の米国大統領セオドア・ルーズベルトも『武士道』を読み感激した一人です。
外国人はもちろん、大きな活字と難解単語の語注つきだから、日本人にも読みこなせる一冊です。
英文版武士道
著者:新渡戸稲造
価格:1,512円
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?
皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。
See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。
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