2015年2月24日火曜日

日本人のあいまいさV.S. アメリカ人の直截さ

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.世界の心の交差点
~日本人のあいまいさV.S. アメリカ人の直截さ~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~ビジネスマンの父より息子への30通の手紙~

では、始まりです。

 1. 世界の心の交差点

今週のテーマは、

「日本人のあいまいさV.S. アメリカ人の直截さ」

です。





ある日本人が、アメリカ人のビジネスパートナーと打ち合わせたときの会話を再現します。

その日本人は、日本のクライアントのために、アメリカ人に現地でのコーディネーションを頼んだのです。

しかし、日本のクライアントの要求が過剰だと、アメリカ人のパートナーはメールで文句をいいます。

それに対して日本人は次のように応えます。

「彼らは、我々にとってとても大切なクライアント。だから多少の無理は受け入れて頑張らなければだめなんだ」

すると、アメリカ人は、

「既に僕は充分頑張っているさ。でもこの支払い条件では、これ以上は無理だね」と応酬します。

「いやね。もしこのプロジェクトがうまくいけば、彼らと信頼関係ができて、さらに大きなプロジェクトの受注につながるわけだから」

と、日本人は説明します。

しかし、アメリカ人のパートナーはどうも乗り気ではありません。

「そうかなあ。そもそも彼らは本気で我々と仕事をしたいんだろうか。特に部長のワタナベは我々の提案に懐疑的じゃないか」

このコメントに日本人のほうはムッときます。

そもそも、渡辺氏は彼に仕事を依頼してきた本人です。

しかし、彼は英語が苦手で、アメリカ人とうまくコミュニケーションができません。

だからこそ、渡辺氏は彼に仕事を依頼してきたのです。

そうした事情をアメリカ人が本当にわかっているのか日本人は疑問を感じます。

しかも、一度しか出会ったことがない相手に対して、「懐疑的」などというレッテルを貼ること自体、理不尽だと思いました。

そこで、その日本人は、アメリカ人のパートナーに、

How do you know Watanabe? Please consider my effort how I am working hard to connect with them!
(君はどれだけ渡辺氏のことを知っているというだい。我々のために仕事をとろうと努力している僕の気持ちも理解してよ!)

と、メールで文句を言いました。

この表現には多少直訳っぽいところもありますが、彼はこれで少しこちらの気持ちをわかってもらえればと期待もしたのです。

このメールへの返信が面白いのです。

I just met him through you. I had never met him until our meeting in Tokyo.
(君を通して紹介されただけさ。東京での打ち合わせ以前に彼と会ったことはないよ。)

この会話、どう思いますか。

日本人は、アメリカ人のパートナーの渡辺氏への思い込みをたしなめようと、多少怒りを込めたメールを送ったのです。

しかし、それを受け取ったアメリカ人は、彼とは一度しか会ったことがないと、正に日本人からしてみれば、全くピントのぼけた反応をしてきたのです。

しかし、言葉としての英語を分析してみるならば、二人の会話にはなんら行き違いはありません。

問題は、日本人は言外に別の意味を込めて、それを当然アメリカ側は察するだろうという前提で、自らの不満を表明したのです。

それに対して、アメリカ人のパートナーは、日本人の言葉を単語とセンテンスの意味の通りに捉え、それに対して単純に応対してきたのです。

実は、この行き違いこそ、英語でのやりとりで最も頻繁におきる異文化摩擦といえましょう。

特に日本人は情で訴え、それを言葉の外に匂わせて相手に伝えようとします。

英語を話すときもその対応方法を変えない傾向にあります。

それに対して、英語のネイティブ・スピーカーは、得てして言葉をセンテンス通りに捉えようとします。

つまり言外に意味があるとは思わず、思っていることは全て言葉にしてコミュニケーションをするべきだと思っているのです。

このコミュニケーションの方法の違いが故に、言外の意図を相手に伝えられず、誤解や苛立が広がったケースは数知れません。

英会話を学ぶとき、ただ単語力やセンテンスの構成力に頼ってはいけません。

自らが言いたいことを、相手のコミュニケーション文化に合わせて伝達するノウハウを覚えることが必要なのです。

この短いやりとりは、そのことを意識しないことからおきる誤解のプロセスを如実に物語っているのです。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

If you want to show spontaneous attitude, express your will with proper words and sentences along with visible behavior.

【日本語tweet】

相手から何か質問されたり、依頼されたりしたときLet’s see what I can do. という一言がとても有効。何か役に立ちたいという誠意を伝え、自らの積極性をアピールする素敵な表現です。しかも、こう言いながら自分が今考えているからちょっと待ってという意思も伝達できます。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「ビジネスマンの父より息子への30通の手紙」

です。

「息子に教えておきたいこと、伝えたいことがある……」

成功した実業家である父親の真情から、自分と同じ道を志そうとする息子にあてて書かれた30通の手紙は、ビジネスの世界で働くための心がまえやアドバイスのみならず、進路や教育、友人関係など、人生で遭遇するさまざまな局面への知恵と示唆にあふれている。

若い人だけでなく、すべての人の座右の書。

章ごとのあらすじ、ページごとの要約、巻末辞書などの日本語ナビゲーションで、本格英文リーディングをサポートするナビ付き洋書シリーズ!

ビジネスマンの父より息子への30通の手紙
Letters of a Businessman to his Son
【日本語ナビ付き原書】
著者:キングスレイ・ウォード
価格:1,512円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二お薦めの書籍

・対訳 TOKYO CITY GUIDE 観光客をもてなす極上のスポット

・HEALING SPEECH ヒーリング・スピーチ

・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan 英文版武士道

・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES 対訳 京都の寺社


2015年2月17日火曜日

Urban Archeology(都市考古学)が語る江戸と世界

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~Urban Archeology(都市考古学)が語る江戸と世界~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~CD付 コミュニケーションのためのやり直し英文法 ~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「Urban Archeology(都市考古学)が語る江戸と世界」

です。


【海外ニュース】



So Yaesu was named after the Dutchman Jan Joosten? - You could have fooled me.

訳:八重洲の語源ヤン・ヨーステンとつゆ知らず
(日本橋カルタより)


【ニュース解説】

西暦1600年3月、大西洋を渡り、南米の最先端、マゼラン海峡を経てさらに太平洋を横断中に嵐に遭遇したリフーデ号というオランダの帆船が、豊後の国、現在の大分県に漂着しました。

オランダの港町ロッテルダムを出帆して2年、乗組員の8割以上は過酷な船旅の途上に命を落としています。

漂着した人々の中に、イギリス人のウイリアム・アダムスとオランダ人のヤン・ヨーステンがいました。

彼らはその後、徳川家康に仕え、9ヶ月後におきた関ヶ原の戦いでも軍事顧問として家康の勝利に貢献したといわれています。

やがて、家康が江戸に幕府を開くと、両者はそれぞれ江戸城の近くに屋敷を構えます。

ヤン・ヨーステンの住んでいた場所は、彼の名前がなまってヤエスとなり、後年「八重洲」と呼ばれるようになりました。東京駅のある場所です。

このカルタは、その蘊蓄を日本語と英語で紹介したもので、東京の日本橋界隈の歴史を掘り起こし、観光資源にしようと、最近作成されたのでした。

Urban archeology(都市考古学)という言葉があります。

考古学というと太古の遺物を発掘し検証する学問と思いがちです。

しかし、時代時代で間断なく進化する大都会の過去を土の中や資料から掘り起こし、我々に紹介することも考古学の一つの分野で、英語ではそれを urban archeology と呼んでいるのです。

実は、ヤン・ヨーステンの物語は、江戸が、実はニューヨークにも、アムステルダムにも、そしてインドネシアのバタビア(現在のジャカルタ)にもつながる世界史の meridian 経線に位置づけられていたことを我々に語ってくれます。

ルターが宗教改革を提唱して80年。

17世紀初頭のヨーロッパは、旧教を支持する人々と新教を奉じる人とで血で血を洗う混乱状態に陥っていました。

カ各地の領主や王族も、どちらかをサポートし、勢力拡大に努めていました。

オランダは、元々当時の超大国で旧教の守護者でもあったスペインの植民地でした。

しかし、オランダには新教徒が多く、スペインに対して独立運動が勃発します。

交易を生業していたオランダ人は、独立戦争を遂行するために、海外の富を求め航海に出ます。

そして、現在のニューヨーク(当時はニューアムステルダム)、インドネシアのバタビアなどに交易の拠点を設けたのです。

一方、旧教徒側のスペインやポルトガルは、既にインドや東南アジアに拠点を設け、日本とも交易を進めていました。

ヤン・ヨーステンは、そんな日本でオランダの利権を獲得し、スペインやポルトガルを駆逐しようと、徳川家康に近づいたのです。

江戸は湾に面した海辺の街。

幕府を開いた家康は、江戸湾を埋め立て、運河を造り、市街地の建設を進めます。

運河と水利事業では、アムステルダムは先輩でした。

ヤン・ヨーステンは、江戸を正にアムステルダムのようにしようと、都市計画に参画したのです。 今、高速道路や主要幹線道路の通っている場所は、昔はそうした運河であったといわれています。

しかも、同時期にバタビアやニューヨークで、オランダ人は同じような都市造りを進めていたのです。

オランダ人は日本でとれる銀に注目しました。

やがて、彼らはたくみに幕府を操り、旧教徒の影響力を削いでゆきます。

それがその後の鎖国につながり、長崎の出島でのオランダとの交易へと続いてゆくことは、歴史の教科書にも語られています。

そして、スペインとの戦争を勝ち抜いたオランダは、世界の屈指の海運国として、1648年に正式に独立が承認されたのでした。

以前にも、解説しましたが、世界史も、国際情勢も、常に広い横の繋がりを鳥瞰すると、色々な物語があぶり出しになるものです。

江戸時代のはじまりが、こうした国際情勢の見えない横糸に操られていたことを今考えるのも、なかなか面白いものです。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
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【英語tweet】

Practical English in the real business scene is quite different from what people are learning at schools in Japan. Nobody tries to fix it.

【日本語tweet】

剣術は知っていても喧嘩を知らない。江戸時代に武士が頭でっかちで世間知らずで机上の空論をいう人をこう揶揄。日本の英語教育も同様です。実践の喧嘩を学べというと、学者がそんな怪しげなことより、学術的根拠のある基礎をと抵抗。この不毛な対立が実践的なコミュニケータの育成を疎外します。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「CD付 コミュニケーションのためのやり直し英文法 」

です。

「会話力アップ」を目的に英文法をやり直そう!

中学や高校で学んだ英文法。文章読解や英作文だけに使っていたその文法は、会話をする上でも、やはり大切な要素です。

相手が言っていることを間違いなく理解し、自分が考えていることを正確に伝えるために必要な文法を、会話文から実践的に学びます。

挨拶程度ではなく、“コミュニケーション・ツール” としての英会話力に必要な「50の文法」をギュっと凝縮して1冊にまとめました。

コミュニケーションのためのやり直し英文法
著者:草野進、スティーブ・リア
価格:1,944円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com


山久瀬洋二お薦めの書籍

・対訳 TOKYO CITY GUIDE 観光客をもてなす極上のスポット

・HEALING SPEECH ヒーリング・スピーチ

・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan 英文版武士道

・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES 対訳 京都の寺社


2015年2月10日火曜日

世界に繋がる『ケンジコール』に水をさす『蛮勇』コメント

こころをつなぐ英会話メルマガ
今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~世界に繋がる『ケンジコール』に水をさす『蛮勇』コメント~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~世界を照らす日本のこころ~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「世界に繋がる『ケンジコール』に水をさす『蛮勇』コメント」

です。


【海外ニュース】



President Obama condemned "the heinous murder" and praised Goto's reporting, saying he "courageously sought to convey the plight of the Syrian people to the outside world".

訳:オバマ大統領は、許しがたき殺人行為と非難した上で、後藤さんの活動を「シリアの人々の苦境を勇気を持って世界に伝えようとしていた」と讃えた。
(ボストングローブより)


【ニュース解説】

湯川さん、後藤さんに続き、ヨルダンのパイロットへの残忍な処刑に接し、ISILの蛮行のショックウエーブが世界に広がっています。

日本で、これほどISILに関するニュースが大きく取り上げられた例は過去にはありません。

もちろん海外では既に去年からこの問題こそが、人類の未来を脅かす最も深刻な危機として、トップニュースを占めてきました。

そうした報道をみながら、私もトルコに接近するISILとクルト人等の部隊との攻防についてなど、何度かこの問題を取り上げてきました。

今回の後藤さんの殺害については、ニューヨークタイムズ、ワシントンポストなどは、悲しみの中で痛ましくコメントを発表する後藤さんの母親石堂順子さんの様子を大きく掲載し、その上で事件の詳細を解説しています。

殆ど全ての紙面では彼の行為を courageous 勇気あることとして賞賛し、オバマ大統領も、heinous という表現、つまり普段は余使用しない最大級の非難の言葉を使って、ISILの野蛮性を指摘しています。

その上で、ここに紹介したように、彼は同じく courageously という単語を使用し、後藤さんの行動を讃えています。

その後、多くのメディアは、Facebook で世界に拡がる I am Kenji というメッセージを、今年始めに、同じくイスラム過激派により、パリで12名が殺害された後に拡がった同様の動きと共に報道しているのです。

その後、ムアーズ・カサースベ中尉が中世の異端者や魔女狩りの犠牲者への刑罰さながらに焼殺された報道は、さらに世界に深い衝撃を与えました。

こうした流れの中で、自民党副総裁高村氏が後藤さんの行為を「蛮勇」と言明したニュースに怒りを覚えたのは私だけでしょうか。

命をかけて危険地帯で報道を行う人がいればこそ、我々は世界でおきている真実を知る事ができるわけです。

国のプロパガンダに惑わされず報道を行うためには、国の警告を知りながらも、敢えて現地に赴く事は、勇気ある職業意識に支えられた行動です。

湯川さん救出のために彼は危険地帯に行く必要があったかという人がいます。

個人が行動する判断に厳しい、甘いはありうるとして、人を救出するために動いた行為は美しくこそあれ、軽率と他者がいえるかどうかは疑問です。

後藤さんの行為が「蛮勇」であれば、こうした命をとして人を助ける行為の全てが向こう見ずな愚かな行為ということになるはずです。

「蛮勇」は一つの英単語では記せません。

英語にすれば reckless、すなわち「向こう見ずでむちゃな」という形容詞が必要になります。

例えば、ABC放送では高村氏のいう「蛮勇」を、reckless courage と訳して報道しています。

国の舵取りを担う政治家が、ジャーナリストの行為を reckless だとすれば、報道をする全ての人は、国の指示に従わなければならなくなります。

もしかすると、政府の関係者は、本音では後藤さんの行為をやっかいな行為として、「面倒なことをして」と思っていたのではとすら推測してしまいます。

あるいは、政府は湯川さんの救出を、実は現地に詳しい後藤さんに極秘に依頼し、その失態を隠しているのではと、疑ってしまいます。

今、大手メディアなどで報道される世界情勢の多くは、こうした後藤さんのような個人で活動するジャーナリストの命がけの取材によるものなのです。

そうした人が多くいる国は、より豊富な判断材料を国民に提供できる、民主主義のバランスがとれた国家だと我々は認識するべきです。

実は、以前イラクでボランティア活動をしていた日本人が拘束されたとき、日本の世論が「自己責任」という方向に傾いたことがありました。

しかし、海外の多くのメディアは、被害者の行為を勇気ある行為として賞賛しています。

そして、今回もオバマ大統領が後藤さんを賞賛したように、彼の勇気を讃えるのが世界の論調であることをここに確認しておきましょう。

それと比較して、母国の日本の政治家だけが、「蛮勇」などとコメントし、そのコメントを厳しく戒める動きもないことこそ、ジャーナリズムの役割という視点で見た上からも情けないことなのではないでしょうか。

政府の役割は、政府が税金で動いている以上、国民の生活と安全を守ることがその一義です。

その立場にある人は、自国の被害者を冒涜するようなコメントをだすべきではありません。

是非、日本人全体が、この問題に向き合い、政府のなす役割と、ジャーナリストや報道活動の大切さについて、意識してもらいたいものです。


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 2.Twitterえーわー!

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【英語tweet】

Brainstorm is one of the important customs to develop a good idea in English. Express your opinion even it is different from other's.

【日本語tweet】

もしあなたが相手と違う考えやアイディアがあったとき、遠慮なくそれを表明することはむしろ歓迎です。Well. という一言で間をおいて、I have a different idea. などといって切り出します。異なる意見を自由に戦わせるのが欧米流ブレーンストームの流儀です。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「世界を照らす日本のこころ」

です。

現役の文部科学大臣 下村博文が若い人たちに向けて語る、日出ずる国からの「世界共生論」です。

これからの日本人のこころの在りかた、それは品格のある国家、気概のある国民、そして夢のある世界のために、古の知恵を知り、新たな世界観を樹立することではないか。

混迷の時代、価値観の異なる国々が調和していくためには、西洋文明では限界にきている。

世界の共生を考えたとき、「多様性の受容」「共生の思想」を持つ日本の価値観こそがそのヒントとなる。

いまこそ、私たち日本人が古来の叡智を思い返し、共生のための新たな世界観を世界に発信していかなければならない。

そのために、私たち日本人がやるべきこと、なさなければならないこととは。

私が伊勢神宮に初めて参拝したのは、二十四年前の三十六歳のとき、東京大学の或る先生の言葉がきっかけでした。

「現在の西洋文明は限界にきている。環境破壊、異常気象、資源の枯渇、テロ等々、このままでは人類は滅亡するのではないか。しかし、それに代わる新たな文明のヒントが日本にあると思う。これまでも人類はその時々、文明の盛衰を経てきた。これからの地球社会の中で、日本の文明こそが求められている。そのヒントが伊勢神宮にある。それはいったい何なのかは、伊勢神宮に行かないとわからないだろう」
(本文「伊勢神宮を参拝して」より)

世界を照らす日本のこころ
著者:下村博文
価格:1,944円


著者の紹介

下村博文(しもむら はくぶん)

衆議院議員
文部科学大臣
教育再生担当大臣
東京オリンピック・パラリンピック担当大臣

昭和29年群馬県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。平成元年東京都議会議員に初当選、以来2期7年を努め、平成8年より東京11区より初当選 (現在連続7期目)。9歳の時、父の突然の交通事故死により苦しい生活がはじまる。高校・大学を奨学金のおかげで卒業できた。その間、多くの人々に助けられ「皆に恩返しを」という気持ちが高まる。また大学時代に早稲田大学雄弁会の幹事長等を経験し、日本をリードしていく情熱あふれる人々との出会いにより、自分の進むべき道は政治家であると確信する。以来、その使命感が原動力となり、「教育改革を通して日本の再構築」を実現することを目標とし、活動している。第一次安倍内閣の内閣官房副長官、第二次安倍内閣にて文部科学大臣 教育再生担当大臣、東京オリンピック・パラリンピック担当大臣として活動中。

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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
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山久瀬洋二お薦めの書籍

・対訳 TOKYO CITY GUIDE 観光客をもてなす極上のスポット

・HEALING SPEECH ヒーリング・スピーチ

・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan 英文版武士道

・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES 対訳 京都の寺社


2015年2月3日火曜日

国際問題の最大のリスク『見えない国境とは』

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~国際問題の最大のリスク『見えない国境とは』~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.世界の心の交差点で
~過去を見詰めたい日本人 vs 前に進みたい欧米人~

4.山久瀬洋二お薦めの一冊
~1日10分 超音読レッスン「エコノミスト編 」~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「国際問題の最大のリスク『見えない国境とは』」

です。


【海外ニュース】



2 Israeli Soldiers Killed in Missile Attack Along Lebanese Border

訳:レバノンとの国境沿いでのミサイル攻撃に遭い、イスラエル兵二人が死亡
(ニューヨークタイムズより)


【ニュース解説】

日本人を対象にした人質事件などによって、通称イスラム国の状況が日本でもクローズアップされました。

今世界でおきているこれら様々な事件を理解するノウハウについて、ここで解説してみましょう。

アラブ情勢、そしてウクライナ情勢などの複雑な国際情勢を考えるとき、我々は一つの固定概念を捨てなければならないことを、今痛感しています。

世界情勢を考えるとき、我々はともすると、現在の国境とそこにある国家に目がいって、国と国との対立項を意識します。

でも、それは島国である日本人が陥りがちな大きな誤解なのです。

わかり易い例をお話ししましょう。

アメリカに居住するネイティブ・アメリカン(日本では今でもアメリカン・インディアンと呼ぶ人が多いかもしれません)というと、多くの人は鳥の羽を頭に飾り、西部の荒野で生活する人々をステレオタイプにイメージします。

しかし、ネイティブ・アメリカン Native American には無数の部族があり、彼らはニューヨークなど東海岸も含め、全米で生活していました。

風俗習慣も多様で、農耕民族も狩猟民族もいて、時にはお互いに対立もしていました。

その対立を、新たに移住して国家を造ったアメリカが利用したこともあれば、迫害 oppress したこともあり、様々な経緯で現在のアメリカ社会の中でのネイティブ・アメリカンの社会が形成されました。

アフリカをみれば、そうした部族同士の争いが、目を覆いたくなるような虐殺事件 genocide に発展した例が多々あります。

90年代には中部アフリカのルワンダではフツ族とツチ族の部族対立が内戦となり、多数の血が流れています。

ヨーロッパでも、旧ユーゴスラビアの地域では90年代にムスリム系の人々が内戦中に多数虐殺、レイプなどの被害にあったことは記憶に新しいはずです。

こうした事情を考えて、今おきているイスラム国と呼ばれる組織の活動をみたとき、そもそも、この広範な地域で活動する様々な部族、宗教宗派が、目に見える国境の中に別の国境をもっていることを知っておく必要があるのです。

今回、見出しで紹介したイスラエルの兵士を殺害したヒズボラは、イスラム過激派と一言でいってもレバノン南部でイスラエルへ対抗して活動するシーア派集団で、スンニ派が動かすイスラム国とは異なります。

また、シリア内戦の原因となったアサド政権を支える宗派は、アラウィ派という別の宗派です。

問題は、こうした我々には見えない宗派や民族による国境が、世界中にアメーバのように存在していることです。

ウクライナでも、例えば、ヨーロッパの先進国の中でもそうした見えない国境 invisible boundary が時には平和に共存し、問題がおきれば対立項としてクローズアップされてくるのです。

そして、そこに時代時代でグローバル戦略をもって活動する列強が、これらの見えない国境を利用し、影響力の維持に努めてきたのです。

19世紀から20世紀初頭には、ヨーロッパ列強、オスマントルコ、その後はソ連、アメリカなど、例を挙げればきりがありません。

さらに、これら列強の活動の中で、見えない国境の上に、自らの利害と政治的意図で見える国境が設定されたのが、現在の中東の混沌の原因なのです。

人質事件のみならず、国際問題を考えるには、この見えない国境と見える国境との複雑な縺れ tangled web を理解し、そこに動く人々の過去と現在の糸をたどる現地への理解が、最も求められるのです。

長年そうした地域での活動のノウハウをもつ欧米諸国は、外交官の演説や人との接触の多くも、そうしたタイミング、場所、そこにいる人、そして見えない国境での状況への情報をしっかりと入手して行われています。

ですから少なくとも、アラブ世界にテロへの断固とした抗議を表明するとき、見えない国境の真ん中で震源地を形成しているイスラエルの首相や国旗の側でスピーチをすることのリスクを、安倍首相は理解していたのでしょうか。

そして、そのスピーチをどうしてもする必要があるなら、ヨルダンやトルコ、そして新生イラクなど周辺国へ、外交的な配慮をしておいたのでしょうか。

見えない国境こそが、国際問題の発火点になっているということは、人類5,000年の歴史で、常に繰り返されてきていることなのです。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

Please try to sit down in front of the people to exchange the "face to face communication". Then you avoid giving people wrong impression.

【日本語tweet】

ネイティブでないあなたは、英語で打ち合わせをするとき、特に相手が複数いるとき、できるだけ一番よく話さないといけない人の正面に座りましょう。横に座ると、相手の英語への理解力が音声面で半減し、自らのインパクトも少なくなります。正面に座ることで存在感もしっかりアピールできるはずです。


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 3.世界の心の交差点で

今回のテーマは、

「過去を見詰めたい日本人 vs 前に進みたい欧米人」

です。

「ねえ、何故あのとき、すぐに対応しなかったのですか」

ある人が、いつになっても謝らないアメリカ人の仕事先に腹をたてて、そう切り出しました。

「だって、我々がいなくても、代替の人で充分対応ができたでしょう」

「そんなことじゃない。責任感の問題だよ。仕事に対する」

「なんだって?僕はいろんなことをやっているんだ。対応ができることを人に任せて何故いけないんだい?僕にはこのプロジェクトの他にも、色々な仕事に、そして家族にも責任がある。いったい何がいいたいんだい?」

このような、あるいはこれに近い会話を経験したことのある海外在住者は多いはずです。

仮に、こうした会話の経験はなくても、心の中で「責任感の問題だよ!せめて謝れよ!」と叫んだことのある人は多いのではないでしょうか。

「どうして、日本人は過去のことをいつまでもしつこく取り上げるんだろう」

「いやね。過去のことをしっかりと理解しないと、未来へ進めないでしょう」

「そんなことはない。未来はこれから造るもの。過去の責任を追求するよりは、同じ問題をおこさないために、これからどうしてゆくべきか、ソリューションを話し合うべきじゃないかな」

「いや、だからこそ過去のことをしっかり検証すべきだ」

「違うよ。日本人は誰に責任があるかを明快にして、その人に謝ってもらいたいだけだろ。それは検証じゃないよ」

謝ることは日本の文化ではとても大切だと、今までに何度も触れてきました。確かに、日本の社会では、謝ることで相手との緊張もほぐれ、和を保ちながら未来に向かうことができます。

しかし、アメリカなど多くの社会では、その心理的プロセスが日本のように強力な要素として文化の中にないのです。

ですから、日本人が海外の人に謝って欲しいと思っても、思うようには対応してくれません。

やがて、感情が鬱積し、抑えていた気持ちをそれでも控えめに、ぼそっと文句をいえば、そこに論理性を感じない欧米の人は、戸惑うか、不快に思って反論するか。いずれにしろ良い結果は望めません。

「ではどうすればいいんだい?」

と日本人は叫びます。

「単純かことさ。未来志向に話をして、今後同じ問題などに直面したときはどうすればいいか、お互いに話し合ってagreementを結べばいいんだよ」

「責任を認めて、謝るのではなく、話し合って agreement か」

「そう。ちゃんとロジックをもって語り合う姿勢が respect という言葉の意味なんだよ。お互いに respect しようじゃないか」

例えばサービス業を例にとりましょう。

そこではサービスを提供する方が、サービスを受ける人に対して下の位置にいて、相手をたててゆくべきだという考え方が日本にはあります。

その上下関係の意識が、何か不都合があったときに、相手に謝ってもらいたいという心理を助長します。

逆に、基本的に人と人とが平等であるという文化の元で教育を受けてきた人は、サービスを提供することと、人の上下関係とを切り離して考えがちです。

このギャップが異文化環境での摩擦を産むのです。

特に、過去にこだわる意識に中に、こうした謝罪への願望が隠されているとき、その摩擦は深刻になってしまいます。

日本人は相手を責任感のない奴だと思い、相手は日本人のことを、理不尽で横柄な奴だと勘違いするのです。

未来志向の強い欧米型のコミュニケーションスタイルと、過去を固めた上で未来を造ろうとする日本人の意識とのギャップの陰に、こうした謝罪への願望という要素があるということを是非理解しておきましょう。

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 4.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「1日10分 超音読レッスン『エコノミスト編』【CD付】 」

です。

速読力、速聴力を強化することで脳を活性化して、英語の処理スピードを格段に向上させる「英語回路」育成計画シリーズの新刊です。

[fast][slow]の2種類のお手本をもとに英文を音読します。

目、耳、口をフルに使う英語学習法。脳にしみこむ「10分間」トレーニング!

今作は、英文ビジネス誌『The Economist』から、音読学習に最適の記事を選びました。

世界のビジネスパーソンに絶大な影響力を持つ有名誌の鋭い記事で超音読!

ビジネスシーンで生かせる“英語力”と“見識”が身に付く一冊です。

1日10分 超音読レッスン「エコノミスト編 」【CD付】 (「英語回路」育成計画)
著者:鹿野晴夫
監修:川島隆太
価格:1,944円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
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山久瀬洋二お薦めの書籍

・対訳 TOKYO CITY GUIDE 観光客をもてなす極上のスポット

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・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan 英文版武士道

・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES 対訳 京都の寺社