2014年10月10日金曜日

先進国の鈍感さ、自国が危機にさらされ、初めて実感

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~先進国の鈍感さ、自国が危機にさらされ、初めて実感~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~THE BEAUTY OF AUTUMN IN JAPAN 紅葉~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「先進国の鈍感さ、自国が危機にさらされ、初めて実感」

です。


【海外ニュース】



In Dallas schools, Fear of possible Ebola Exposure.

訳:ダラスの学校は、エボラ出血熱の感染を危惧
(New York Timesより)


【ニュース解説】

エボラ出血熱が西アフリカで流行というニュースは、ここしばらく世界中のメディアで報道されています。

このニュースを、日本を含む世界の先進国といわれる国々は、西アフリカの貧しい人々の苦しみと捉え、ニュースとしてそれを聞きながらも、所詮遠い地域のことだと思っていたはずです。

こうした希薄な意識が、現地への救援活動にも影響を与えてきました。

衛生管理、効果的な薬剤の供給、民衆への教育活動など、あらゆる分野で現地での対応に対する課題が指摘されています。後手にまわった疾病対応もあって、エボラ出血熱の致死率が70%をこえているのです。

実際、これだけ多くの人が苦しみながら、薬の開発と大量生産が遅れていた理由は、貧しい地域での感染症のために薬を開発する経済効果を懸念した製薬会社の逡巡にその原因があるのも事実と言われています。

先進国では国家としてもそうした問題解決に積極的な対応を怠ってきたのではと、多くの専門家は批判します。

そうした中、西アフリカでエボラ出血熱に感染していたトーマス・ダンカン氏が、アメリカに帰国後発症したことが、大きく報道されたのです。

しかも、ダンカン氏は、テキサス州ダラスで、発症の前に学校の子供達と接触していたことが判明。

たちまち近隣の人々をパニックに陥れたのです。

“I haven’t been shaking hands, just bumping elbows.”
(私は握手はしていない。ただ肘があたっただけ)

とある若者は取材に応じ、冷静だけど感染はいやだと感想を述べています。

ダンカン氏は、リベリアからベルギーのブリュッセルを経由して、ダラスに到着しています。

主に使った航空会社はユナイテッド航空。

エボラ出血熱は飛沫感染などもありうるために、感染地域から人々が世界に拡散すれば、ちょうどバトンリレーのように病原菌が伝染する可能性があるわけです。

ダンカン氏は、リベリアでエボラ熱の患者の搬送を手伝ったということです。

リベリアでは医療施設が対応できず、受け入れられなかった疾病者によってさらに感染が拡大していることから、ダンカン氏もそうした患者と長時間接触していたのです。

帰国者の発症によって、「他人事のニュース」がアメリカで一気に現実味を帯びた脅威となり、風評が飛び交うことで、パニックがおきているのです。

しかも、皮肉なことに、このパニックが手伝ってか、エボラ出血熱に効果のあるという薬の量産も始動したというニュースも聞こえています。

ダンカン氏は critical condition(重篤)で、家族によれば kidney failure(腎臓疾患)を併発し、呼吸障害に陥っていると、アメリカのABCニュースでは、病状の刻々とした変化を報道する熱心さです。

このニュースが、我々に語るものは何でしょうか。

それは、世界が一つの共同体になっている今日にありながら、我々が遠い地域でおきている事象に対して余りにも無関心で「他人事」としてあつかっている現実です。

ダンカン氏がブリュッセルの空港にいたときいて、同じときに同空港にいた日本人が不安になる程度といっても過言ではない状況が、日本にもあり、世界中にもみられるのです。

それでいながら、今回のダラスでのケースのように、一度自国内に影響が広がれば、今度は以前の無関心による情報不足も手伝って、パニックがおこり、風評被害すらおきてしまうのです。

このプロセスは、震災のとき、被害に同情していた世界中の多くの人々が、原発の放射能汚染が懸念された瞬間にパニックをおこし、日本への旅行を禁止し、日本に駐在する社員を帰国させ、民間航空の日本への直接の乗り入れも一時中止した事実にも共通したものがあります。

常に正しい情報を冷静に入手する姿勢と、そうした情報を提供する政府など公共機関の透明性が常に求められます。

「過剰な懸念」か「過小な関心」の二つの極端しかない、「他人事」への関わり方。そしてそうした関わり方をしてしまう人々の意識に、我々はもっとメスをいれてゆくべきなのではないでしょうか。


バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)

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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

In Japan, many people believe it is not good idea to speak out before considering the subject deeply. Many westerners don’t care about it.

【日本語tweet】

出る杭は打たれる日本。例えばアメリカでは出る杭が多すぎ、出る杭に対してWho cares. つまり珍しくも何ともありません。Outstanding(際立つ存在)でありたいと多くが望んでいる社会。そこでは、思いつきでも自分の意見を述べることはよいことで、軽率な行為とは思われません。


山久瀬洋二twitter はこちら

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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「THE BEAUTY OF AUTUMN IN JAPAN 紅葉」

です。

日本人の移ろいの美学の象徴、紅葉。

オールカラーの英文写真集。

40年以上にわたって撮り続けてきた水野克比古氏が自ら精選した珠玉の120枚。

紅葉風景の集大成版。

華やかな紅葉の陰に垣間見える「儚さ・無常観・ものの哀れ」をも集約しました。

日本文化を伝える海外へのギフトにも最適です。


※水野克比古(みずの かつひこ)氏

1941年京都生まれ。京都をテーマにした写真集を多数出版する「京都写真」の第一人者。日本の伝統文化を深く見つめ、1969年から風景、庭園、建築など京都の風物を題材とした撮影に取り組んでいる。その作品は国内はもとより、「美しい京都を撮る写真家」として海外での評価も高い。

THE BEAUTY OF AUTUMN IN JAPAN
― LIVING WITH MAPLE LEAVES
写真:水野克比古
価格:3,672円

中身はこんな感じ↓↓↓

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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

他多数




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