2014年10月28日火曜日

イランでの刑の執行が我々に語ること

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~イランでの刑の執行が我々に語ること~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~英語手帳 2015年版~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「イランでの刑の執行が我々に語ること」

です。


【海外ニュース】



Iran hangs Reyhaneh Jabbari despite campaign

訳:反対運動にもかかわらず、イランはレイハネ・ジャバッリを絞首に (BBCより)


【ニュース解説】

中東では人権 Human rights に対する常識が、欧米とは異なります。

土曜日に絞首刑に処せられたレイハネは26歳。

実は彼女は乱暴をしようとした男性を殺害したのではといわれています。

しかも、自白自体脅迫によるものではなかったかといわれ、イスラム社会での女性の法的立場の弱さが露呈されたケースとなったのです。

話は飛びますが、以前サウジアラビアの首都リヤドに出張をしたとき、タクシードライバーが、「チョップ・チョップ・プレイス」を見に行きたいかと私に問いかけたことがありました。

「チョップ・チョップ・プレイス」とは公開で斬首刑の行われる場所のこと。

あまり趣味のよいことではなく、私はやんわりとその誘いを断りました。

後で、現地の友人が私に、処刑にあたっては斬首を行う執行人が大切な役割を担っていると説明してくれました。

処刑にあたって、執行人は被害者の遺族に慈悲の心はあるかと問いかけます。

例えば、喧嘩をし、殴った相手がたまたま昏倒して死亡したとします。

この場合、喧嘩であったということから、被害者の遺族に、犯人が強い殺意をもっていたわけではないので、許してやってはどうかと問いかけます。

遺族がそれに同意すれば、被告は無罪かあるいは減刑。

それでも遺族が執行を主張すれば予定通り処刑されるというわけです。

私はイスラム法には素人ですが、明らかに欧米や日本の法律とは異なる常識で社会が成り立っていることがわかります。

今回、イランでの刑の執行は、アムネスティなど、様々な人権団体などから執行の猶予 reprieve の嘆願がでていました。

しかし、最終的に被害者の遺族が猶予に同意しなかったことによって、刑が執行されたのでした。サウジアラビアのケースと似たプロセスがそこにありました。

アムネスティのみならず、多くの国がこの執行に抗議、イランでの人権、特に女性への人権に対するイメージは地におちてしまいました。

彼女の死刑が宣告されたのは5年前。

逮捕されて2ヶ月間、独居房 Solitary confinement に監禁され、弁護士との接見もできなかったといわれています。

さらに、彼女は被害者を刺したかもしれないが、それが致命傷ではなく、致命傷を負わせた真犯人がいると疑いも指摘されています。

捜査が極めてずさんだったというのです。

イランでは今年だけで250名が刑死しているといわれています。

その数の多さもさることながら、裁判のあり方、法の元での平等の概念に抵触した、若き女性への刑の執行は、世界の非難の対象となったのです。

中東や北アフリカなど、イスラム圏では男女が平等に扱われず、多くの女性が差別に悩んでいるといわれます。

例えば、日常的なことでいえば、サウジアラビアでは、ホテルのロビーに男性のみが座ることのできる場所がある反面、女性に供与される場所は限られていました。

そして、運転免許証も男性のみに与えられます。こうした現状に加え、近年中東でおきているイスラム国ISISなどでの様々な事件が、欧米の中にイスラム圏への批判、さらに偏見を助長します。

ただ、我々がこの悲しいニュースに接したとき、知っておかなければならないことがもう一つあることをここに強調します。

それは、人権擁護団体のアムネスティなどは、日本の刑事犯への扱いにも強い懸念をもっているということです。

先進国の中で、日本はアメリカと共に死刑制度を今も残す数少ない国。

しかも、欧米の人権活動家は、日本で検察官によって起訴された人のほとんどが有罪になる実態にも懸念を表明しています。

捜査や訴追の透明性が著しく欠如していると、彼らは指摘しているのです。

つまり、イランの悲劇を見る目と同じ視線で、日本の注視されていることに、我々は気付いていないのです。

I urge Iran to put a moratorium on all executions
(私はイランが全ての処刑を中止することを強く求める)

と、イギリスの外務大臣トビアス・エルウッド UK Foreign Minister Tobias Ellwood は、今回の処刑のニュースを受けて、声明を発表したそうです。

死刑廃止、捜査の透明性と被疑者への公正な取り扱いといった、日本も抱く課題。

凶悪犯罪への抑止、そして遺族の心境への配慮というテーマとのバランスをいかにとってゆくべきか。

イランでの悲劇は「中東ならでは」と言い切れない課題を我々日本人にも突きつけているのです。


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 2.Twitterえーわー!

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間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

When you need to ask somebody to do something in abroad, confirm real deadline. Do not be relieved when people say I will do my best.

【日本語tweet】

海外で英語でI will do my bestといわれたら逆に注意が必要。それは「頑張るけど結果は保証できないね」という意味だからです。もし相手が本気なら、いつまでに何をどうするかというコミットがあるはず。重要なことには具体的な答えを要請しましょう。不安なら必ず確認が必要です。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「英語手帳 2015年版」

です。

英語手帳の特徴

1.アメリカ日常英語から1日1単語を紹介

毎日掲載されている単語は、アメリカで日常的に使用されている単語を基本としています。自然と会話につながる英単語を習得することができます。

2.語彙を増やす

単語の定着をはかるため、毎日の単語を使用したフレーズや Q&A が用意されています。1年続ければ、2014年12月から2015年12月までの13カ月間で、400近い単語に触れることができます。

3.英語で元気になる

元気が出てくる英語フレーズを満載しています。英語学習のモチベーションを維持するだけでなく、落ち込んだとき、疲れたとき、声に出して言ってみることで、気持ちをアップさせることができ、ポジティブな単語やフレーズを身につけることができます。

4.「英語で手帳をつける」をサポート

英語で手帳をつけるためのワード&フレーズリスト付き。

5.井上久美先生のエッセー

毎月、通訳者として第一線で活躍する井上久美先生のエッセーが含まれています。英語で相手と「つながる」ためのコツが満載されているだけでなく、英語や人生への先生の姿勢から、多くのヒントを得ることができます。

6.英語の名言(Inspiring Sayings)

週ごとに、心に響く英語のことわざや名言が記載されています。

7.普通の手帳としても

もちろん普通の手帳としても利用できます。十分なメモスペースや To-Do リストが、ビジネスの場でも活躍してくれます。

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英語手帳120%活用法
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今回は、ここまでです。

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皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

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発行者 山久瀬洋二
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山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

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2014年10月27日月曜日

地理的にも西欧社会を脅威にさらすISISの現実

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~地理的にも西欧社会を脅威にさらすISISの現実~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~ABC殺人事件~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「地理的にも西欧社会を脅威にさらすISISの現実」

です。


【海外ニュース】



ISIS Militants in Syrian Border Town Begin to Retreat After a Month-long Battle

訳:シリア国境付近に展開していたイスラム国の武装勢力はひと月にも及ぶ戦闘の末、撤退を開始
(ニューヨークタイムズより)


【ニュース解説】

世界の注目を集めるISISイスラム国。

先週特集したマララ・ユフスザイさんの暗殺未遂事件の黒幕といわれるパキスタンのタリバーン幹部も、イスラム国の活動に合流するという声明を14日に発表し、その勢力拡大への新たな脅威となっています。

いうまでもなく、捕虜にした欧米のジャーナリストを公開処刑したり、異教徒を奴隷にすると声明を発表したり、その時代錯誤の無法ぶりに憤りを覚える人は少なくないはずです。

そうした中、トルコの国境に接するシリアの都市カバーニ Kobani に ISIS が侵攻してきたことが、ここ数週間、欧米では緊張感をもって報道されていました。

アメリカ政府は現地のクルド人勢力を支援し、ISIS に空爆を行い、なんとしてでもカバーニを守り抜こうとします。

CNNなど欧米の放送局は、トルコ側からその戦闘の模様を中継。

それが銃撃や爆撃が肉眼で見えるほどの距離であることが世界に報道されました。

この問題の背景にあるクルド人のことを我々は知っておく必要があります。

クルド人は3,000万近い人口をもつ民族で、イラク北部、トルコなどに居住しています。

独立した国家を持たないことから、分離独立運動に端を発した紛争が両国におき、サダムフセイン政権下では、クルド人への化学兵器を使用した大量虐殺が世界の非難に晒されました。

また、トルコもクルド人の民族運動には伝統的に強硬な姿勢に終始し、国内には深刻な差別問題をいまだに抱えているのです。

そうした背景の中で、クルド人の多く居住する地域にISISが侵攻し、トルコとの国境へと迫ってきたのです。

トルコとしては、ISIS が自らの国境を脅かし、国内に密入国しテロ活動を展開されることが現実の脅威となっている以上、アメリカとクルド人との共同戦線にまったをかけることはできません。

パレスチナ問題だけで語れない中東の複雑な事情が見えてきます。

アメリカ軍の総司令官ロイド・オースティン Gen. Lloyd J. Austin は、今でもコバーニが敵の手に落ちる可能性は充分にあるとしながらも、状況は好転しつつあると報道陣のインタビューに応えています。

“The enemy has made a decision to make Kobani his main effort,” General Austin said on Friday.
(敵はコバーニを最重要拠点と位置づけているとオースティン司令官は金曜日に発表)

と同紙は報道しています。戦国時代の国取りさながらに、ISISはトルコとの国境の町コバーニをおさえることで、欧米に大きなくさびを打ち込もうとしているのです。

実は、国境とはいえ、シリアとトルコとの間には鉄条網も検問所もない地域があちこちにあり、カバーニ陥落はトルコ、さらにその向こうにあるヨーロッパにとっても直接の脅威になるのです。

ISIS は、東側ではバクダッドを脅かし、今西ではトルコに至る地域に展開していることになります。

その勢力維持のための資金はどこからきているのでしょうか。

ISIS がイラク北部の油田地帯に勢力を伸ばしたことから、石油が新たな資金源になるのではと危惧されましたが、そもそも確保した石油を輸出することが困難である以上、彼らに潤沢な資金が保証されているのではないと、専門家は指摘します。

しかし、世界中に展開するイスラム教原理主義を支持する人々からの支援ルートを完全に押さえ込むことは不可能です。

楽観は許せないのが現実です。

しかもISISの兵士には、欧米から参加する者も多いといわれています。

単に欧米に住むイスラム原理主義者のみならず、現代社会の病巣の中で人生の目的を失った若者に広くリクルートの網をかけている現実は、確かに脅威です。

イラクが自国軍によって ISIS を駆逐するにはまだ実力に限界があります。

そして、アメリカは国内世論も含め、中東への再度の派兵には政治的にも財政的にも課題があります。

あのエボラ熱のように、欧米の油断をぬって拡大し、人にまで感染をはじめた ISIS 。

カバーニを巡る戦闘を通し、それは欧米への地理的な脅威となってきているのです。


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【英語tweet】

Greeting is the essential manner as human beings. It is sad to see this greeting habit has been deteriorated in current Japanese society.

【日本語tweet】

日本人は知り合いになるまで、とても無愛想。通りで目があっても、ちょっとぶつかりそうになっても、飛行機などでサービスを受けても多くの人は知らん振り。日本の社会のためというより、世界と交流する上でもこれは異様。人が気持ち良く声を掛け合う、グリーティングの文化が廃れてしまったようです。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「ABC殺人事件」

です。

ラダーシリーズレベル4やさしい英語で書かれたラダーシリーズのレベル4(使用語彙2000語)です。


名探偵エルキュール・ポアロのもとに、一通の怪文書が届く。

「今月21日、アンドーヴァーにご用心。ABC」。

そして・・・

21日、Aで始まるアンドーヴァーの町で、イニシャルが A.A の老婦人の他殺体が発見される。

現場には ABC鉄道案内が残されていた。小さな町で起きたささいな事件。

しかしポアロは予感していた、これは始まりに過ぎないと。そしてB、Cと惨劇は続いていく。

「灰色の脳細胞」を誇るポアロと、相棒ヘイスティングズが挑む怪事件!ミステリーの女王アガサ・クリスティーの傑作

ABC殺人事件
著者:アガサ・クリスティー
価格:1,026円


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今回は、ここまでです。

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2014年10月14日火曜日

マララの語る『教育』を日本が見詰めるとき

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1.ニュースなイングリッシュ
~マララの語る「教育」を日本が見詰めるとき~

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3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~英語で聞く 世界を変えた女性のことば~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「マララの語る『教育』を日本が見詰めるとき」

です。


【海外ニュース】



The Nobel Peace Prize was awarded Friday to India's Kailash Satyarthi and Pakistan's Malala Yousafzai for their struggles against the suppression of children and for young people's rights, including the right to education.

訳:金曜日に、子供や若者が教育を受ける権利、そして人権への抑圧と闘ってきた、インドのカイラシュ・サティヤルティと、パキスタンのマララ・ユサフザイにノーベル平和賞が授与された。(CNNより)


【ニュース解説】

先週末、このニュースの直後、マララ・ユフスザイさんが受賞にあたって行ったスピーチをききました。

彼女が子供、特にイスラム圏の女性が教育を受ける権利の獲得を目指す活動の中で、一度は凶弾に倒れたことは周知の事実です。

マララのすごさは、その発信力ではないかと思います。彼女は、国連やCNNでのインタビューなど、あらゆる場で高校生とは思えない堂々としたスピーチを行い、多くの人を感動させてきました。

今回のスピーチをきいた時、私はそんなマララの持つ「教養」とは何か考えさせられたのです。

彼女は、そのスピーチで、彼女と共にノーベル平和賞を受賞したインドのサティヤルティ氏のことを取り上げます。

サティヤルティ氏は、児童労働の撲滅を訴え続けてきた活動家です。

彼女は、パキスタンとインドとがともすれば政治的に対立し、時には紛争にまで発展している事実を踏まえ、パキスタン人の自分と、インド人のサティヤルティ氏とが共に受賞したことの意義を語り、両国の指導者に、これをよい機会として、平和に向けた交流をしてほしいと語ります。

彼女の母国語はパキスタンやアフガニスタンで使用されるパストゥーン語で、英語はいわば第二外国語です。

その英語を駆使し、メディアの前で堂々と自らの考えを語る高校生のマララ。

しかも、ノーベル賞の受賞にあたって、同じく受賞した人とのことを語りながら、両国の政治問題を少女の目で一刀両断し、宗教や民族の違いを乗り越えて平和を求めるメッセージの力強さはどこからきているのでしょうか。

教育とはこうした洞察力、信じることを語る勇気、そして信念を他の人に伝える発信力を養うことだと改めて痛感させられます。欧米流の教育の強さは正にそこにあります。

逆に、残念なことに、物事を覚え、それをテストすることに重点をおく日本の教育の弱点があぶり出されます。

教育とは、人間としての教養を養うための行為に他なりません。

教養とは、得た知識を通して世の中の様々な事象をみて、それをリンクさせ自らの信念を培うことで、知識そのものではないということを我々は忘れつつあります。

マララがパキスタン人とインド人がノーベル賞を分かち合ったことを語るとき、

One believes in Hinduism and one strongly believe in Islam. And it gives a message people of love between Pakistan and India and between different religions. And we both support each other. It does not matter what the color of your skin is, what language you speak,what religion you believe in. It is that we should all consider each other as human beings and we should respect each other.
(一人はヒンズー教を、もう一人は熱心なイスラム教信者です。このことは、パキスタンとインド、そして宗教の違いをこえた人類愛がそこにあることを語りかけてくれます。我々は共に支援し合っているのです。それは肌の色や言語の違い、さらに宗教の違いなどはどうでもよく、人間としてお互いに理解し合い、尊重し合うべきだと我々に伝えているのです)

と強調します。

こうした信念を持ち、それを人々に語ることこそ教養であり、マララの受けている教育の素晴らしさを改めて実感します。

実は、マララのスピーチの内容そのものは、今では欧米をはじめ、世界の多くの国で共有されている価値観を改めて語ったものにすぎません。

しかし、彼女が、まだ10代の少女でありながら、命をかけてそれを守ったことに、多くの人が共感しているのです。

つまり、彼女の信念の背景となっている、このスピーチの内容こそが、欧米で子供達に常に教え、指導されているコンテンツなのだということを、我々はここで冷静にみる必要があります。

日本人が、もっと海外に留学し、世界にでて活動する必要性とは、正にそうした環境に身を投じ、世界の常識の中で語れる教養を持った人材になるためなのです。


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【英語tweet】

Japanese hate to receive “why” question as they have to create the logic that can persuade westerners while westerners love to say why.

【日本語tweet】

日本人は、Why?という質問を受けるのが苦手。理由をちゃんと論理的に構築して述べないと欧米の人にわかってもらえないから。彼らは、Why?と常に尋ねる習慣が。
逆に日本人はHowできかれる方が楽。ゼロから説明を創造するのではなく、型に従った、方法論を話せばいいから。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「英語で聞く 世界を変えた女性のことば」

です。

「世界を変えたい」と本気で願い、人々の心を、そして世界を動かした女性たちのスピーチを集めました。

タリバンに襲撃されても、女性が教育を受けることの大切さを訴え続け、2014年ノーベル平和賞を受賞した若き乙女マララ・ユスフザイを筆頭に、アウンサンスーチー、マザー・テレサ、緒方貞子、ヒラリー・クリントン、マーガレット・サッチャーなど、名だたる女性たちのスピーチを、雰囲気そのままに収録。

彼女たちの熱い願いを耳で聞き、目で読む。さらに、スピーチが行われた「背景解説」と使われている「英語表現」の意味を徹底的に解説した、英語と歴史背景を学べる1冊です。

※本書に収録されているマララ・ユスフザイさんの演説は2013年の国連での演説の抜粋です。

日英対訳 英語で聞く世界を変えた女性のことば
著者:ニーナ・ウェグナー
翻訳:北村みちよ
背景解説:山久瀬洋二
英語解説:出水田隆文

価格:1,944円

中身はこんな感じ↓↓↓

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・The Politics, Diplomacy Issues and Society of Japan 日本事情-政治・外交・社会編

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2014年10月10日金曜日

先進国の鈍感さ、自国が危機にさらされ、初めて実感

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1.ニュースなイングリッシュ
~先進国の鈍感さ、自国が危機にさらされ、初めて実感~

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3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~THE BEAUTY OF AUTUMN IN JAPAN 紅葉~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

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「先進国の鈍感さ、自国が危機にさらされ、初めて実感」

です。


【海外ニュース】



In Dallas schools, Fear of possible Ebola Exposure.

訳:ダラスの学校は、エボラ出血熱の感染を危惧
(New York Timesより)


【ニュース解説】

エボラ出血熱が西アフリカで流行というニュースは、ここしばらく世界中のメディアで報道されています。

このニュースを、日本を含む世界の先進国といわれる国々は、西アフリカの貧しい人々の苦しみと捉え、ニュースとしてそれを聞きながらも、所詮遠い地域のことだと思っていたはずです。

こうした希薄な意識が、現地への救援活動にも影響を与えてきました。

衛生管理、効果的な薬剤の供給、民衆への教育活動など、あらゆる分野で現地での対応に対する課題が指摘されています。後手にまわった疾病対応もあって、エボラ出血熱の致死率が70%をこえているのです。

実際、これだけ多くの人が苦しみながら、薬の開発と大量生産が遅れていた理由は、貧しい地域での感染症のために薬を開発する経済効果を懸念した製薬会社の逡巡にその原因があるのも事実と言われています。

先進国では国家としてもそうした問題解決に積極的な対応を怠ってきたのではと、多くの専門家は批判します。

そうした中、西アフリカでエボラ出血熱に感染していたトーマス・ダンカン氏が、アメリカに帰国後発症したことが、大きく報道されたのです。

しかも、ダンカン氏は、テキサス州ダラスで、発症の前に学校の子供達と接触していたことが判明。

たちまち近隣の人々をパニックに陥れたのです。

“I haven’t been shaking hands, just bumping elbows.”
(私は握手はしていない。ただ肘があたっただけ)

とある若者は取材に応じ、冷静だけど感染はいやだと感想を述べています。

ダンカン氏は、リベリアからベルギーのブリュッセルを経由して、ダラスに到着しています。

主に使った航空会社はユナイテッド航空。

エボラ出血熱は飛沫感染などもありうるために、感染地域から人々が世界に拡散すれば、ちょうどバトンリレーのように病原菌が伝染する可能性があるわけです。

ダンカン氏は、リベリアでエボラ熱の患者の搬送を手伝ったということです。

リベリアでは医療施設が対応できず、受け入れられなかった疾病者によってさらに感染が拡大していることから、ダンカン氏もそうした患者と長時間接触していたのです。

帰国者の発症によって、「他人事のニュース」がアメリカで一気に現実味を帯びた脅威となり、風評が飛び交うことで、パニックがおきているのです。

しかも、皮肉なことに、このパニックが手伝ってか、エボラ出血熱に効果のあるという薬の量産も始動したというニュースも聞こえています。

ダンカン氏は critical condition(重篤)で、家族によれば kidney failure(腎臓疾患)を併発し、呼吸障害に陥っていると、アメリカのABCニュースでは、病状の刻々とした変化を報道する熱心さです。

このニュースが、我々に語るものは何でしょうか。

それは、世界が一つの共同体になっている今日にありながら、我々が遠い地域でおきている事象に対して余りにも無関心で「他人事」としてあつかっている現実です。

ダンカン氏がブリュッセルの空港にいたときいて、同じときに同空港にいた日本人が不安になる程度といっても過言ではない状況が、日本にもあり、世界中にもみられるのです。

それでいながら、今回のダラスでのケースのように、一度自国内に影響が広がれば、今度は以前の無関心による情報不足も手伝って、パニックがおこり、風評被害すらおきてしまうのです。

このプロセスは、震災のとき、被害に同情していた世界中の多くの人々が、原発の放射能汚染が懸念された瞬間にパニックをおこし、日本への旅行を禁止し、日本に駐在する社員を帰国させ、民間航空の日本への直接の乗り入れも一時中止した事実にも共通したものがあります。

常に正しい情報を冷静に入手する姿勢と、そうした情報を提供する政府など公共機関の透明性が常に求められます。

「過剰な懸念」か「過小な関心」の二つの極端しかない、「他人事」への関わり方。そしてそうした関わり方をしてしまう人々の意識に、我々はもっとメスをいれてゆくべきなのではないでしょうか。


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【英語tweet】

In Japan, many people believe it is not good idea to speak out before considering the subject deeply. Many westerners don’t care about it.

【日本語tweet】

出る杭は打たれる日本。例えばアメリカでは出る杭が多すぎ、出る杭に対してWho cares. つまり珍しくも何ともありません。Outstanding(際立つ存在)でありたいと多くが望んでいる社会。そこでは、思いつきでも自分の意見を述べることはよいことで、軽率な行為とは思われません。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「THE BEAUTY OF AUTUMN IN JAPAN 紅葉」

です。

日本人の移ろいの美学の象徴、紅葉。

オールカラーの英文写真集。

40年以上にわたって撮り続けてきた水野克比古氏が自ら精選した珠玉の120枚。

紅葉風景の集大成版。

華やかな紅葉の陰に垣間見える「儚さ・無常観・ものの哀れ」をも集約しました。

日本文化を伝える海外へのギフトにも最適です。


※水野克比古(みずの かつひこ)氏

1941年京都生まれ。京都をテーマにした写真集を多数出版する「京都写真」の第一人者。日本の伝統文化を深く見つめ、1969年から風景、庭園、建築など京都の風物を題材とした撮影に取り組んでいる。その作品は国内はもとより、「美しい京都を撮る写真家」として海外での評価も高い。

THE BEAUTY OF AUTUMN IN JAPAN
― LIVING WITH MAPLE LEAVES
写真:水野克比古
価格:3,672円

中身はこんな感じ↓↓↓

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