今日の目次です。 1.ニュースなイングリッシュ ~沖縄戦終結にみる、戦争を遂行した日本の責任とは~ 2.Twitterえーわー! 二カ国語で同じ意味を同時tweet! 3.英語で一言 ~Well.. で間を空け、注目を集めよう~ 4.山久瀬洋二お薦めの一冊 ~大人の粋 Adult Chic~ |
では、始まりです。
1. ニュースなイングリッシュ |
海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。
今週のテーマは、
「沖縄戦終結にみる、戦争を遂行した日本の責任とは」
です。
【海外ニュース】
Okinawa is ours after 82 days 45029 U.S. casualties, foe’s 94401 Gen. Stilwell heads 10th Army.
訳:沖縄は82日間かけ、45,029名の死傷者、敵側の94,401名の犠牲のうえに、我々の手中に。スティルウエル将軍の陸軍第10軍のもとに。
(New York Timesより)
【ニュース解説】
これは69年前、6月22日付け(日本時間はその翌日)のニューヨークタイムズの一面のヘッドラインです。
そこでは、沖縄でのorganized resistance (組織的抵抗)が終息し、沖縄がアメリカに占領されたことを解説しています。
この一面には、その他に対日戦の詳細な記事が数多く掲載されていました。
太平洋戦争の経験が風化し、日本が右傾化しつつあると指摘する人達が多くいます。
そうした世論の変化を考えるとき、当時の戦争の背景を感情的な側面ではなく、冷静に分析することも今必要です。
実は、このニューヨークタイムズの一面には、それを語るに足る多くの事実が掲載されているのです。
一面のいくつかの記事は、アメリカ側が受けたダメージの大きさを深刻に取り上げる一方で、日本側にも9万人以上の死傷者がでたと報じています。
もちろん、この数字はその後さらに増えてゆきます。
さらに同紙は、沖縄をアメリカが獲得したことで、日本が覇権をもつ極東地域への攻撃可能な地域を示すradius(半径)が拡大したことを指摘しています。
Okinawa conquest expands our attacking radius
(沖縄の征服は攻撃の半径を拡大した)
という副題がこのヘッドラインのすぐ下に記されているのです。
この二つの記事と同じ一面に掲載されている
Today’s communiqué revealed how costly has been price for the island for which we battled for eighty-two days.
(本日の発表は、この82日間の戦いに、いかに多くの損失を支払ったかを見せつけることになった。)
という解説を重ねてみます。
そこには、日本軍の頑強な抵抗にアメリカがどれだけ苦しみ、日本側にも犠牲があったかという深刻な事実があぶり出されます。
その損失は硫黄島での激戦の比ではないと同紙は強調します。
沖縄戦のあと、アメリカ軍は日本の地方都市への空爆を執拗に押し進め、最終的には広島と長崎への原爆投下へと突き進みます。
その日のニューヨークタイムズには、日本軍が九州南部に軍事力を集結しはじめ、アメリカの上陸戦に備えていると報道しながら、沖縄での双方の多大な犠牲への教訓をもとに、日本への上陸作戦を逡巡している様子が如実に語られているのです。
戦争責任ということを考えるとき、日本人はついつい原爆投下や都市部への無差別爆撃などによる悲劇に意識がゆき、当時のアメリカの戦争遂行のあり方に対しても批判的になりがちです。
ただ、ここで忘れてはならないことは、戦争への多大な犠牲にアメリカも悩み、早期終結への方途に手詰まり感を抱き、苦しんでいた事実があったことです。
実は、日本の受けた戦争被害の多くがこの沖縄戦の後であったことに注目するべきです。
沖縄戦の終結によって、日本の敗戦は殆ど明白になりました。
その後大規模な海戦や陸戦を遂行する能力自体、日本にはなく、特攻攻撃と、いわゆる本土決戦以外のチョイスは残されていなかったのです。
そして、アメリカは硫黄島や沖縄での体験から、日本本土に上陸することがどれだけの被害をうむか深刻に考えはじめていたのです。
さらに、ヨーロッパ戦線が終結していたこの時期、ソ連による南下という新たな脅威に、日本もアメリカも共に晒されていた事実も忘れてはなりません。
こうしたアメリカの苦悩の結論の延長戦上に、原爆投下という悲劇があったことを考えたとき、沖縄戦終結から2ヶ月近くにわたって執拗に国民に命がけの戦いを強要した当時の日本政府の責任の重さに、自然に目がいってしまうのも事実でしょう。
事実、それから一月後に日本に対して発表されたポツダム宣言をも日本政府は黙殺します。
つまり、この紙面に現れたアメリカ側の懸念は、そのまま原爆投下の責任をアメリカだけにもってゆくことができるのかというテーマにつながるのです。
こうした歴史への視点を忘れて、日本での被害を世界に強調する時、周辺諸国なども、日本の反応に冷たい視線を投げかけてくるのだというレトリックを、今改めて正面から見詰めてゆくべきなのではないでしょうか。
バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)
2.Twitterえーわー! |
毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。
【英語tweet】
If you cannot get the vocabulary of "arterial" at your speech, ask your counterpart by using a different expression with basic words.
【日本語tweet】
多くの人が、特定の単語を知らないために、会話を継続できず立ち往生。でも、例えば「動脈の」(arterial)という言葉がでなければ、相手に「ほら、血液を心臓から流す管だけど」と言って、「それって動脈?」といわせ、「そう、その動脈がさ」と話を続けましょう。中学英語で充分話せます。
山久瀬洋二twitter はこちら
3.英語で一言 |
今回のテーマは、
「Well.. で間を空け、注目を集めよう」
です。
相手が何か意見してきたとして、あなたはそれに堂々と英語で反論ができますか?
日本人は文化的に、反対意見をストレートに言う事が苦手な国民だといわれます。
以前に別の機会に触れましたが、「私の意見はちょっと違うんです」などと、わざわざ「ちょっと」という一言をいれたりして、敢えて相手との「和」を保ちながら自分の意見を表明しようとしてしまいます。
しかし、英語ではストレートに自らの意見を表明することが大切です。もって回った言い方や、相手を気にしすぎた対応は、英語の世界では相手に不信感を与えかねません。
Business is business. つまり、業務や公での対応は、個人の感情と切り離して表現しても構わないという不文律があることを知っておくべきです。
それでは、はっきりと反対意見をいうときにはどのようにすればいいのでしょうか。
そんな時に役立つのが、
Well(そうですね)
という一言を表明し、ちょっと間をおいて話しだすテクニックです。
Well… let me tell you my thought.
などと、言って前置きをしてから自分の考えを表明すれば、よりストレスなく意思を伝えることができるはずです。
おどおどとしながら、
I think I have a little bit different opinion.
などというのではなく、しかも意見が違うのですからa little bitなどといわずに、
Well… I have a thought that is different from yours.
などという風にちゃんと表明してみるのです。
「和」を保ちたいのなら、もって回った表現より、意見を言ってくれた人への感謝の気持ちを忘れないことをおすすめします。
つまり、Thank you for your feedback. (フィードバックをありがとう。)
などといって、ちゃんと謝意を示し、相手を尊重する気持ちを表し、あとはしっかり自らの意見を述べればいいのです。
4.山久瀬洋二お薦めの一冊 |
今週のお薦めは、
「大人の粋 Adult Chic」
です。
江戸時代から昭和にかけて、日本人は「粋か野暮か」で人を判断し、カネ持ちであろうが垢抜けない行動をすれば容赦なく批判しました。
「粋」という言葉が死語になりつつある今だからこそ、落語の世界や江戸しぐさの粋な言葉や行動基準を身につけ、「勝ち組」「負け組」という言葉に左右されない自己を確立したいものです。
「粋の精神」で人生は何倍も楽しくなる。
カネがなくても人生を楽しく、かっこよく生きる知恵が満載。
他人の気持ちを察するココロが身に付く、人気落語家の立川談四楼による「粋な大人」になるためのマナー指南を、英語と日本語の対訳でお届けします。
--まえがきより(立川談四楼)--
粋や野暮は口にするものの、乙という言葉からも遠ざかっていますね。是非、これを機会に復活させたいものです。先だって読んだ時代小説に「わりない仲」とのセリフを発見し、そうそう、そんな言葉もあったと小躍りしました。しけこむ。しっぽりぬれる。わけあり。松ぼっくいに火がつく‥‥さすが時代小説です。
夢想し、笑みがこぼれます。それは英語圏の人が、「あなたIKIなことしますね」と言っている世界です。「ソリー、YABOなこと言いました」。面白いでしょ、日本にいる外国人がそんな会話を交わすようになるのです。さあ、どうぞ、粋と野暮、そして英語の世界へ。
著者:立川談四楼
翻訳:デヴィッド・ローゼンフェルド
翻訳:マイケル・ブレーズ
価格:1,512円
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?
皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。
See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。
発行者 | 山久瀬洋二 |
公式ブログ | http://yamakuseyoji.com/ |
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。 | |
yamakuseyoji@gmail.com |
山久瀬洋二の執筆活動
・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術
・英語で聞く世界を変えた女性のことば
・日本人が誤解される100の言動
・英語で読むスティーブ・ジョブズ
・気がつけばバイリンガル 英語日和
他多数