2014年6月24日火曜日

沖縄戦終結にみる、戦争を遂行した日本の責任とは

こころをつなぐ英会話メルマガ

こんにちは。山久瀬洋二(やまくせようじ)です。

英語での意思疎通の最大の阻害要因は、文化の違いに起因しています。私は、文化の異なる人々と相互に理解を深めるため、「異文化ビジネスコンサルテーション」を行っています。

このメルマガでは、単なる英語力の向上だけでなく、伝わる英語のエッセンスをお伝え出来ればと思っています。

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~沖縄戦終結にみる、戦争を遂行した日本の責任とは~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.英語で一言
~Well.. で間を空け、注目を集めよう~

4.山久瀬洋二お薦めの一冊
~大人の粋 Adult Chic~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「沖縄戦終結にみる、戦争を遂行した日本の責任とは」

です。


【海外ニュース】



Okinawa is ours after 82 days 45029 U.S. casualties, foe’s 94401 Gen. Stilwell heads 10th Army.

訳:沖縄は82日間かけ、45,029名の死傷者、敵側の94,401名の犠牲のうえに、我々の手中に。スティルウエル将軍の陸軍第10軍のもとに。
(New York Timesより)


【ニュース解説】

これは69年前、6月22日付け(日本時間はその翌日)のニューヨークタイムズの一面のヘッドラインです。

そこでは、沖縄でのorganized resistance (組織的抵抗)が終息し、沖縄がアメリカに占領されたことを解説しています。

この一面には、その他に対日戦の詳細な記事が数多く掲載されていました。

太平洋戦争の経験が風化し、日本が右傾化しつつあると指摘する人達が多くいます。

そうした世論の変化を考えるとき、当時の戦争の背景を感情的な側面ではなく、冷静に分析することも今必要です。

実は、このニューヨークタイムズの一面には、それを語るに足る多くの事実が掲載されているのです。

一面のいくつかの記事は、アメリカ側が受けたダメージの大きさを深刻に取り上げる一方で、日本側にも9万人以上の死傷者がでたと報じています。

もちろん、この数字はその後さらに増えてゆきます。

さらに同紙は、沖縄をアメリカが獲得したことで、日本が覇権をもつ極東地域への攻撃可能な地域を示すradius(半径)が拡大したことを指摘しています。

Okinawa conquest expands our attacking radius
(沖縄の征服は攻撃の半径を拡大した)

という副題がこのヘッドラインのすぐ下に記されているのです。

この二つの記事と同じ一面に掲載されている
Today’s communiqué revealed how costly has been price for the island for which we battled for eighty-two days.
(本日の発表は、この82日間の戦いに、いかに多くの損失を支払ったかを見せつけることになった。)
という解説を重ねてみます。

そこには、日本軍の頑強な抵抗にアメリカがどれだけ苦しみ、日本側にも犠牲があったかという深刻な事実があぶり出されます。

その損失は硫黄島での激戦の比ではないと同紙は強調します。

沖縄戦のあと、アメリカ軍は日本の地方都市への空爆を執拗に押し進め、最終的には広島と長崎への原爆投下へと突き進みます。

その日のニューヨークタイムズには、日本軍が九州南部に軍事力を集結しはじめ、アメリカの上陸戦に備えていると報道しながら、沖縄での双方の多大な犠牲への教訓をもとに、日本への上陸作戦を逡巡している様子が如実に語られているのです。

戦争責任ということを考えるとき、日本人はついつい原爆投下や都市部への無差別爆撃などによる悲劇に意識がゆき、当時のアメリカの戦争遂行のあり方に対しても批判的になりがちです。

ただ、ここで忘れてはならないことは、戦争への多大な犠牲にアメリカも悩み、早期終結への方途に手詰まり感を抱き、苦しんでいた事実があったことです。

実は、日本の受けた戦争被害の多くがこの沖縄戦の後であったことに注目するべきです。

沖縄戦の終結によって、日本の敗戦は殆ど明白になりました。

その後大規模な海戦や陸戦を遂行する能力自体、日本にはなく、特攻攻撃と、いわゆる本土決戦以外のチョイスは残されていなかったのです。

そして、アメリカは硫黄島や沖縄での体験から、日本本土に上陸することがどれだけの被害をうむか深刻に考えはじめていたのです。

さらに、ヨーロッパ戦線が終結していたこの時期、ソ連による南下という新たな脅威に、日本もアメリカも共に晒されていた事実も忘れてはなりません。

こうしたアメリカの苦悩の結論の延長戦上に、原爆投下という悲劇があったことを考えたとき、沖縄戦終結から2ヶ月近くにわたって執拗に国民に命がけの戦いを強要した当時の日本政府の責任の重さに、自然に目がいってしまうのも事実でしょう。

事実、それから一月後に日本に対して発表されたポツダム宣言をも日本政府は黙殺します。

つまり、この紙面に現れたアメリカ側の懸念は、そのまま原爆投下の責任をアメリカだけにもってゆくことができるのかというテーマにつながるのです。

こうした歴史への視点を忘れて、日本での被害を世界に強調する時、周辺諸国なども、日本の反応に冷たい視線を投げかけてくるのだというレトリックを、今改めて正面から見詰めてゆくべきなのではないでしょうか。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

If you cannot get the vocabulary of "arterial" at your speech, ask your counterpart by using a different expression with basic words.

【日本語tweet】

多くの人が、特定の単語を知らないために、会話を継続できず立ち往生。でも、例えば「動脈の」(arterial)という言葉がでなければ、相手に「ほら、血液を心臓から流す管だけど」と言って、「それって動脈?」といわせ、「そう、その動脈がさ」と話を続けましょう。中学英語で充分話せます。


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 3.英語で一言

今回のテーマは、

「Well.. で間を空け、注目を集めよう」

です。

相手が何か意見してきたとして、あなたはそれに堂々と英語で反論ができますか?

日本人は文化的に、反対意見をストレートに言う事が苦手な国民だといわれます。

以前に別の機会に触れましたが、「私の意見はちょっと違うんです」などと、わざわざ「ちょっと」という一言をいれたりして、敢えて相手との「和」を保ちながら自分の意見を表明しようとしてしまいます。

しかし、英語ではストレートに自らの意見を表明することが大切です。もって回った言い方や、相手を気にしすぎた対応は、英語の世界では相手に不信感を与えかねません。

Business is business. つまり、業務や公での対応は、個人の感情と切り離して表現しても構わないという不文律があることを知っておくべきです。

それでは、はっきりと反対意見をいうときにはどのようにすればいいのでしょうか。

そんな時に役立つのが、
Well(そうですね)
という一言を表明し、ちょっと間をおいて話しだすテクニックです。

Well… let me tell you my thought.

などと、言って前置きをしてから自分の考えを表明すれば、よりストレスなく意思を伝えることができるはずです。

おどおどとしながら、

I think I have a little bit different opinion.

などというのではなく、しかも意見が違うのですからa little bitなどといわずに、

Well… I have a thought that is different from yours.

などという風にちゃんと表明してみるのです。

「和」を保ちたいのなら、もって回った表現より、意見を言ってくれた人への感謝の気持ちを忘れないことをおすすめします。

つまり、Thank you for your feedback. (フィードバックをありがとう。)

などといって、ちゃんと謝意を示し、相手を尊重する気持ちを表し、あとはしっかり自らの意見を述べればいいのです。


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 4.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「大人の粋 Adult Chic」

です。

江戸時代から昭和にかけて、日本人は「粋か野暮か」で人を判断し、カネ持ちであろうが垢抜けない行動をすれば容赦なく批判しました。

「粋」という言葉が死語になりつつある今だからこそ、落語の世界や江戸しぐさの粋な言葉や行動基準を身につけ、「勝ち組」「負け組」という言葉に左右されない自己を確立したいものです。

「粋の精神」で人生は何倍も楽しくなる。

カネがなくても人生を楽しく、かっこよく生きる知恵が満載。

他人の気持ちを察するココロが身に付く、人気落語家の立川談四楼による「粋な大人」になるためのマナー指南を、英語と日本語の対訳でお届けします。

--まえがきより(立川談四楼)--

粋や野暮は口にするものの、乙という言葉からも遠ざかっていますね。是非、これを機会に復活させたいものです。先だって読んだ時代小説に「わりない仲」とのセリフを発見し、そうそう、そんな言葉もあったと小躍りしました。しけこむ。しっぽりぬれる。わけあり。松ぼっくいに火がつく‥‥さすが時代小説です。

夢想し、笑みがこぼれます。それは英語圏の人が、「あなたIKIなことしますね」と言っている世界です。「ソリー、YABOなこと言いました」。面白いでしょ、日本にいる外国人がそんな会話を交わすようになるのです。さあ、どうぞ、粋と野暮、そして英語の世界へ。

大人の粋 Adult Chic
著者:立川談四楼
翻訳:デヴィッド・ローゼンフェルド
翻訳:マイケル・ブレーズ
価格:1,512円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

他多数


2014年6月17日火曜日

報道の自由か、国家の利益か

こころをつなぐ英会話メルマガ

こんにちは。山久瀬洋二(やまくせようじ)です。

英語での意思疎通の最大の阻害要因は、文化の違いに起因しています。私は、文化の異なる人々と相互に理解を深めるため、「異文化ビジネスコンサルテーション」を行っています。

このメルマガでは、単なる英語力の向上だけでなく、伝わる英語のエッセンスをお伝え出来ればと思っています。

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~報道の自由か、国家の利益か~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~リーン・スタートアップ~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「報道の自由か、国家の利益か」

です。


【海外ニュース】



Supreme Court Rejects Appeal From Reporter Over Identity of Source
(New York Times より)

訳:最高裁は、記者の取材源の秘匿を拒否


【ニュース解説】

ニューヨークタイムズといえば、アメリカのみならず、世界のジャーナリズムを代表する新聞です。同紙は今まで、アメリカや世界各地の政治、経済、社会問題やその隠された実態に果敢に挑み、数々の事実を暴き、紹介してきました。

James Risen はそうした記者の1人として、同紙で国家機密、公安問題を担当してきたベテランです。

彼は、2001年9月11日の同時多発テロ事件を調査し、カバーした記者として、Pulitzer Prize (ピューリッツァ賞) を受賞したことでも知られています。

ピューリッツァ賞は、19世紀末のニューヨークのメディア界の大物ジョセフ・ピューリッツァの遺志で設立され、優秀な報道などに贈られる賞であることはいうまでもありません。

そんな James Risen が、2006年に出版した State of War という書籍は、2001年9月11日の同時多発テロ事件以降のアメリカの諜報活動、特に CIA や NSA などによる活動の実態と、当時のブッシュ政権の involvement (関わり方) を赤裸々に暴いた書籍として、注目されたのです。

この取材活動の中で Risen は、イランでの核実験問題、さらには様々な中東問題などに絡み、アメリカの諜報機関のエージェントとして働く人物にも極秘の取材をいれ、さらに政府高官からも情報も入手します。

そして、agent すなわち工作員がいかに活動し、時にはそうした人々の中に double agent (二重スパイ) が存在していること、国家の利益を優先するという緊張の中で、ブッシュ政権の関係者がいかに Zone of Deniability (黙秘の枠) を設定して、拷問や個人情報などへのアクセスを極秘に行っていたかという内情が記されたのです。

さらに、本書は、諜報機関と政権自身との微妙な関係についても解説しています。

例えば、CIA がイラクと開戦する直前に、イラク政府は核を保有していないという overwhelming evidence (確実な情報) をキャッチしながら、それを敢えてブッシュ大統領に報告しなかった事実などがその代表といえましょう。

諜報機関が自らの政府をも操る実態がそこにみえてくるのです。

問題は、彼がこのような大掛かりでプロフェッショナルな取材を行うにあたってコンタクトした人物とのコミュニケーションが、政府に傍受されていたことです。

そして、それが証拠の一として Jeffrey Alexander Sterling という CIA の職員が逮捕され、国家機密の漏洩事件として裁かれているのです。

Sterling は CIA において、対イランへの諜報活動に関わり、ドイツやニューヨークでイランへの工作員のリクルートにもあたっていました。

しかし、彼は雇用関係への不満からCIAの中で雇用機会均等法に関する告発を行い、その後 CIA を解雇されます。

しかし、Sterling はそれを不服として、CIA を提訴していたのです。

恐らくこうした状況におかれた Sterling は、絶好の取材源の1人だったのかもしれません。

これは、最近話題のスノーデン事件とも微妙にリンクするケースであるといえましょう。

このケースの審理にあたって、裁判所は召喚状を James Risen に送り、証言を求めます。

しかも、この召喚状は、それに応じないときは刑事罰が課せられるという規定に基づいていました。

しかし、Risen は証言によって、様々な取材源が暴かれることになるとして、報道の自由の立場から出廷が拒否。召還の違法性を主張したのです。

それに対して、最高裁判所が、Risen の appeal (上告) を棄却したことが今回のヘッドラインの背景なのです。

James Risen に実際に刑事罰を課すかどうかは、オバマ政権の判断次第で微妙なところといえそうです。

しかし、ここで提示されている課題は機密保持法などが制定されている日本にとっても他人事ではないのです。

アメリカや日本といった民主主義を基軸とする国家にとって、政府の暴走や独裁を防ぐためにも、freedom of the press「報道の自由」は、憲法にも規定された人々の重要な権利です。

そして、報道を自由に遂行するためには、取材した対象、すなわち identity of source (取材源) を秘匿する権利も保証されなければなりません。

そして、国家の利益と取材源の秘匿とは時として大きく対立することも事実なのです。

今回のアメリカの Supreme Court (最高裁判所) の判決は、そうした対立への一つの判断です。

最高裁判所の判事は終身制で、大統領が指名し、上院の過半数の同意をもって任命されることになっています。

従って、時の政権や議会が判事を任命するときは、偏った判断がなされないか全米が注目します。

現在、民主党政権時に任命された判事は4名、共和党政権時の判事が5名で、いわゆる保守系がマジョリティとなっています。

これも今回の判断の背景として知っておきたい事実です。


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 2.Twitterえーわー!

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【英語tweet】

To stimulate westerners’ motivation, emphasize the opportunity and benefit before pointing out challenging barrier and difficulties.

【日本語tweet】

日本人は完璧であろうとしすぎるあまり、最初に困難なポイントやリスク、あるいは問題点を強調しがち。もし欧米の人を説得したいなら、まずはそうすることのベネフィットとチャンスをかたることから始める方が効果的です。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「リーン・スタートアップ」

です。

シリコンバレー発の注目のマネジメント手法『リーン・スタートアップ』とは、新しい製品やサービスを開発する際に、作り手の思い込みによって顧客にとって価値のないものを作ってしまうことに伴う、時間、労力、資源、情熱のムダをなくし、時代が求める製品・サービスを、より早く生みだし続けるための方法論です。

■新しいことを始める人すべてが起業家

著者自身が、起業で失敗を重ねる過程で得た考え方ですが、それは会社を興す人にかぎらず、企業や組織のなかであっても新しい事業を始めようとする人にも役立ちます。本書のなかでも、「スタートアップとは、不確実な状態で新しい製品やサービスを創り出さなければならない人的組織であり、そこで働く人は皆アントレプレナー(起業家)である」と語っています。

■「構築―計測―学習」のフィードバックループ

リーン・スタートアップは具体的には、「構築―計測―学習」のフィードバックループを通して、まず要となる仮説に基づいて実用最小限の製品(MVP)をすぐに作って、実際に顧客に使ってもらった実験結果から、成長につながる価値を学ぶ(検証による学び)という工程をくり返します。 その中で、仮説に対して結果が違ったら、そのまま進むか、あるいは方向転換(ピボット)するかを選びます。その判断基準も、いっときの成果ではなく、事業として継続できるかどうかを見る、著者ならではの鋭い指摘が示されています。

■リーン・スタートアップの本質は、不確実で先が読めない時代への挑戦

本書の中でたびたび登場する言葉が「不確実な状況」であり「価値」です。著者はロケットの発射のように綿密な計画を立て、わずかでも仮説が間違っていたために悲惨な結果を招くよりも、自動車の運転のように状況に応じで進路を変えながら進んでいく操縦法が起業においては重要であると説きます。先の見えない不確実ないまの時代、失敗をくり返さなければすばらしい新製品は開発できず、価値を正しく見極め、失敗をムダにしないためのアプローチがリーン・スタートアップです。

リーン・スタートアップ
著者:エリック・リース
解説:伊藤 穣一(MITメディアラボ所長)
翻訳:井口 耕二
価格:1,944円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

他多数


2014年6月3日火曜日

アメリカとメキシコの切れない『縁』

こころをつなぐ英会話メルマガ

こんにちは。山久瀬洋二(やまくせようじ)です。

英語での意思疎通の最大の阻害要因は、文化の違いに起因しています。私は、文化の異なる人々と相互に理解を深めるため、「異文化ビジネスコンサルテーション」を行っています。

このメルマガでは、単なる英語力の向上だけでなく、伝わる英語のエッセンスをお伝え出来ればと思っています。

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1.ニュースなイングリッシュ
~アメリカとメキシコの切れない『縁』~

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3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~グローバルエリート:世界で成功する英語力とビジネス力を身につける方法~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「アメリカとメキシコの切れない『縁』」

です。


【海外ニュース】

Waves of immigrant minors present crisis for Obama, Congress

訳:未成年移民の波が、オバマ政権、議会に波紋を
(ロイター通信)


【ニュース解説】

今、私はメキシコ中部の古都グアダラハラを訪問しています。

いつも驚かされるのが、一旦メキシコに入国すると、英語がほとんど通じないこと。

例えば、日本でも隣国の言葉である韓国語や中国語はなかなか通じませんが、メキシコの場合はアメリカと陸続き。

しかも、歴史的にも現代においても、この二つの国は、国境を接する他の国々の事例と同様に、密接に関わっているのです。

そもそも、アメリカの南西部、西海岸の都市の名前が、ロサンゼルスやサンフランシスコというように、ほとんどメキシコの国語であるスペイン語であることからも、その状況は容易に想像できます。

さて、今回滞在しているグアダラハラは、メキシコの文化を代表する都市。テキーラやメキシコ人にとっての演歌ともいえるマリアッチも、この周辺で産声をあげました。

そんな古都を歩いていると、アメリカという国の存在が遠くに見える錯覚に陥ります。

しかし、そんなメキシコとアメリカとの間には、いま不法移民の問題が深刻に横たわっているのです。

テキサス州ではメキシコとの国境にあるリオグランデという川を渡って、豊かなアメリカで一稼ぎしようと、メキシコの人々が国境警備隊の目を盗んでは越境してきます。

カリフォルニア州でも、そんな移民の多くが農業労働者や家政婦など、様々な仕事に従事しています。彼らの多くがillegal immigrant(不法滞在者)なのです。

メキシコとの国境に近い高速道路を運転していると、不法に入国してくる人々を拘束し、deport(強制送還)するために、検問所が設けられ、そこを通行する人々に入国審査さながらの質問をしています。

こうした地域を旅行する日本人もちゃんとパスポートや永住許可証を所持していないと、とんでもない誤解を受けるリスクがあるのです。

今回紹介するヘッドラインでは、最近そうした不法移民にminor、すなわち未成年者が増えていると指摘しているのです。

未成年者であれば、法律に従って子供としての人権を尊重しなければならず、安易に逮捕し強制送還というわけにはいきません。

An estimated 60,000 such children will pour into the United States this year.
(6万人の子供が今年だけでアメリカに流入していると思われる)

と、そのニュースは指摘しています。彼らを保護するコストだけでも、連邦政府にとって相当な重荷になっているのです。

そして、この予算不足という重荷に堪え兼ねて、拘束した成人の移民までもが、結局そのまま釈放され、テキサス州のバスターミナルには、全米各地に旅立つ不法移民が列をなしていると報道するメディアもあるのです。

アメリカは、移民による新陳代謝で発展してきた国です。人口の高齢化に悩む日本とは対象的に、移民の新しい血によって、常に社会が活性化されてきました。

従って、移民局は不法移民を取り締まりながらも、社会的には不法であろうとなかろうと、移民の子供にも就学を許可するなど、様々な権利を付与しているのも事実です。

また、以前は永住権を求める人々を受け入れるためのlottery(抽選)を行ったことも何度かありました。実は私自身、そのlotteryでアメリカの永住権を取得しています。

サンフランシスコに住む友人の娘が通う学校の場合には、メキシコからの移民が増加し、英語を話せない子供が増えていることを受け、なんと児童の教育効果もかねて、授業をスペイン語にしようという試みすらなされているのです。

移民を合法的に受け入れたいアメリカに殺到する、メキシコからの不法移民。これこそ、アメリカとメキシコとの間の、切っても切れない「縁」の深さとなっているのです。

グアダラハラに滞在し、英語が通じず四苦八苦していると、不法移民が流れ出ているメキシコも、懐の深い大きな国であることを実感します。

その深い懐から、人々がアメリカに憧れ旅立つことが、アメリカにとって良いことなのか、それとも深刻な社会問題なのか。

これこそ移民社会アメリカの永遠の課題であるといえましょう。


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 2.Twitterえーわー!

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中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

Why are Japanese so nervous to speak in English?
Nobody will blame you for your English mistake.
People may blame you for your silence.

【日本語tweet】

なぜ日本人は会議などで英語をしゃべることにそんなに神経質になるのでしょう。
誰もあなたの英語の間違いを非難したりはしないはず。
むしろ、あなたが黙っていることこそ非難されるかも。下手でも構わないので、会話に参加すること。
それなくして、本当の英語のコミュニケーション力は育成されません。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「グローバルエリート: 世界で成功する英語力とビジネス力を身につける方法」

です。

グローバル時代に成功したい日本人、必読!日本の大企業幹部のコーチングを務める外国人コンサルタントのコンビが日本人のために開発した「自分をグローバル化する」方法を伝授!

「グローバル時代に成功したい日本人」に必要な“考え方や態度” “本当に使える英語を身に付けるためのトレーニング法” を詳しく解説。日本にいながら、仕事に必要な英語力とグローバルセンスを磨ける1冊です。

(著者:ロッシェル・カップ、ジリアン・ヨークより)

外国人と一緒に世間話をする時、何を言えばよいかと困ってしまう方、海外赴任を命じられたが、海外でどうやって生活を成り立たせるかで悩んでいる方、何らかの事情で短期間に英語を上達させなければならない方、日本にいながらグローバルセンスを磨きたい方、外国人と接触するとき失礼がないようにしたい方、このグローバル時代で生き残る「自分の強み」は何なのかを把握したい方……などなど。要するに、どうやって自分を「グローバル化」できるかを考えている方々です。その方々のために、この本を用意しました。

私たちの長い日本滞在経験と、日本企業の海外駐在員や外国人たちとのたくさんの交流経験にもとづいて、「グローバル時代に成功したい日本人」のために、秘訣と思われる情報と提案を詰め込みました。

グローバル エリート
世界で成功する英語力とビジネス力を身につける方法
著者:ロッシェル・カップ
著者;ジリアン・ヨーク
価格:1,620 円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
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See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
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山久瀬洋二の執筆活動

・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術

・英語で聞く世界を変えた女性のことば

・日本人が誤解される100の言動

・英語で読むスティーブ・ジョブズ

・気がつけばバイリンガル 英語日和

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