2015年5月26日火曜日

グローバル・スタンダードでの『おもてなし』を考えよう

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~グローバル・スタンダードでの『おもてなし』を考えよう~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~TOKYO City Guide~


では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「グローバル・スタンダードでの『おもてなし』を考えよう」

です。


【海外ニュース】



It was our pleasure having you on board of Vistadome train. We hope that you enjoyed the quality of attention and service offered by PeruRail during your journey.

訳:ビスタドーム号にご乗車いただき、心からお礼申し上げます。ペルーレイルのサービスにご満足いただけたことを祈念します。
(ペルーレイル)


【ニュース解説】

これは、ペルーの観光列車に乗車した顧客にもれなく送られる電子メールの一部で、そこにはサービスに満足したかどうかのアンケートもついています。

ペルーレイルは、バーミューダに本拠地をおいて、世界各地でホテルや観光列車などを運営するベルモント社が資本提携している鉄道会社です。

ペルーは南米にあり、インカ文明の遺跡マチュピチュなどで知られた国です。

ペルーを含め中南米の国々は、アメリカに多くの移民を送り込んでいます。

しかし、母国であるそうした国々へ行けば、英語が通じないことに驚かされます。ペルーも例外ではありません。

今回、たまたま、そんなペルーでの研修の仕事があり、首都リマにある顧客のオフィスに3日間滞在したあと、ペルー観光のゴールデンルートと呼ばれる、マチュピチュ、クスコ、そしてチチカカ湖へと6日間の旅ができました。

英語の通じないペルーにおいて、ペルーレイルのように外資と提携したホテルや、そうした施設と契約するガイドといった、観光地のプロの英語の質の良さには驚かされ、多くを学びました。

ペルーの東南部は、観光収入に経済そのものが頼っています。

例えばチチカカ湖で水上生活をするウル族などは、その収入源のほとんどが、観光客からもたらされます。

そうした場所で活動する観光ガイドが、極めて質の高い英語で、地元の文化を発信するのです。

日本人が観光をするとき、多くが通訳つきのグループで行動するため、こうした観光地での英語でのサービスの質について、気付くことは少ないかもしれません。

そもそも、我々は海外でなされているサービスに対して鈍感になり過ぎているのではないでしょうか。

ペルーをはじめ、海外の観光戦略と比較したとき、日本の観光戦略は、自らがグループツアに依存しながら海外旅行をしているためか、外国人を受け入れる発想も、そうした団体旅行的な発想に偏っている気がしてならないのです。

しかし、観光収入を本気で考える場合、団体ではなく、家族やカップル、そして友人などとの目的をもった個性ある旅を求める海外の人の心をしっかりと掴むことの大切さを実感します。

そこの国の文化を自分に合った方法で楽しもうと、時には我々にとっては思いもつかないことに興味を持ち、深く入り込み、リピーターとなってくれる彼らへのサービスこそが、今日本の観光産業が最も磨かなければならないノウハウだということを、ペルーなどにくると実感するのです。

例えば、ペルーの鉄道は極めて不便で、インフラも遅れています。

しかし、チチカカ湖に面した都市プーノとインカの古都クスコを結んでのろのろと走る観光列車は欧米の人に大人気で常に満席状態です。

その列車はガタガタの軌道を走りますが、その100メートルほど前を小さな作業車が先導して安全を配慮します。

私は、クスコとマチュピチュとの間を結ぶ同様の列車を使って、片道3時間の日帰りの旅をしました。列車の中での英語のサービスはもとより、帰りは夜のために車窓からは何も見えないため、退屈しないように現地の素材で造った衣服によるファションショーを列車の従業員が行うという気の使いようです。

ポイントは、それらのサービスが押し付けがましくなく、旅行者のプライバシーに立ち入ることもなく、さらりとなされていることです。

もちろん、英語の通じにくいペルーであれば、タクシーに乗れば、運転手の英語はカタコト以下です。しかし、手振り身振り、筆談で旅を続ける楽しさをそんなときは味わえます。

オープンであることこそ、最大の「おもてなし」というわけです。

以前、福岡のあるホテルの支配人と話したとき、外国からの旅行者が田舎の旅館を体験したいといったところ、英語ができないので外国人は断っているといわれたことがあるというエピソードを思い出しました。

その支配人は海外の体験が長いこともあり、問題の旅館と交渉し、旅館としてできることとできないことを外国人に伝え、外国人も何を体験したいか事前に旅館に知らせることで、なんとか問題を解決したそうです。

しかし、旅館側が英語に不慣れで「おもてなし」ができないために外国人に迷惑がかかるという発想は、外国人からみれば、差別され、交流を閉ざされた冷たい対応と映るはずです。

外国人に優しい「おもてなし」を提供するには、英語ができないことにひけめを感じず、卑屈にならず、オープンで、相手を思い切って受け入れる深さが最も求められます。

そして、自分の常識で与えるだけではなく、相手の個性あるニーズをしっかりと理解して臨機応変に対応する融通性が必要です。

日本と比べれば、インフラ面では相当差を感じながらも、ペルーの観光戦略から我々はむしろ学ぶことの方が多いのではと、今回の旅を通して実感したのでした。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

Whenever they get off the bus, people say thank you to the driver in the US. It was a good memory for me as I don’t see it in Japan.

【日本語tweet】

アメリカでバス通勤していたころ、みんな目的地に着くと運転手さんにThank you と言って下車していました。今アメリカに出張したときに乗るレンタカーの送迎バスも同様。逆に日本人は、働いてくれる人に無言のまま、そしてなにかいうときは時には横柄。お客様は神様?人としては平等ですよ。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「TOKYO City Guide」

です。

東京観光の極上スポットと、その楽しみ方を1冊で詳しく解説します。

海外からのツーリストが東京を堪能できるスポットを、日本在住27年の著者が外国人ならではの目線で選び、その楽しみかたを紹介。

どのシーズンに訪れても楽しめるよう、四季ごとの楽しみかたや、外国人には分かりづらい旅の基本である交通手段・宿・食事などの情報も満載。東京に遊びに来る外国人に持たせてあげたい、英文東京ガイドの決定版!

TOKYO City Guide【英文東京ガイド】
著者:David Thayne
価格:1,296円


対訳本ならこちら↓↓↓

【日英対訳】観光客をもてなす極上のスポット TOKYO CITY GUIDE
著者:David Thayne
価格:1,998円


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二お薦めの書籍

・HEALING SPEECH ヒーリング・スピーチ

・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan
英文版武士道


・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES
対訳 京都の寺社



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2015年5月19日火曜日

ボストンマラソンの被疑者への死刑判決が物語るもの

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~ボストンマラソンの被疑者への死刑判決が物語るもの~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~日本人のしぐさ~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「ボストンマラソンの被疑者への死刑判決が物語るもの」

です。


【海外ニュース】



A federal jury on Friday condemned Dzhokhar Tsarnaev, a failed college student, to death for setting off bombs at the 2013 Boston Marathon.

訳:大学中退者のジョハル・ツァルナエフへ連邦裁判所の陪審員は、2013年のボストンマラソンの場に爆弾を仕掛けたことを非難し、死刑を宣告 (NY Timesより)


【ニュース解説】

2013年にボストンマラソンを襲った爆弾テロの悲劇は、まだ皆さんの記憶に新しいはずです。

それは、4月19日、ボストンマラソンの最中に炸裂した爆弾で、285人以上の死傷者をだした事件でした。

それから2年あまり、15日にニューヨークに到着し、仕事仲間の友人とホテルのロビーで打ち合せをしていたときに、そこにあったテレビから容疑者の一人ジョハル・ツァルナエフ Dzhokhar Tsarnaev(21歳)に死刑宣告が下ったというニュースが流れてきました。

彼は、8歳のときに、政治難民 political asylumとして家族に連れられてアメリカに移住してきました。

以来、知人によるとごく普通のアメリカ人の少年としてスポーツなどに打ち込んでいたといいます。

彼には8歳上のタメルランという兄がいました。

兄は、アメリカに移民してきたときには既に10代も半ばを過ぎ、自らのルーツやアメリカ社会、そして彼らの母国であったチェチェンでおきているロシアとの紛争のあらましなどに強い関心を持っていたのです。

彼らの両親の母国はロシアの南部のチェチェンとコーカサスです。

この地域は、19世紀初頭には帝政ロシアの拡張の中でギリシャ正教を国の宗教とするロシアの一部となってゆきます。

しかし、ここの住民の多くはイスラム教徒でした。

以来、帝政ロシアが倒れ、ソ連の時代になっても分離独立運動が絶えず、多くの血が流されました。

戦後になっても、そうした動きを封じようとするスターリンの指示で、数十万人のチェチェン人が強制的にシベリアなどに移住させられ、劣悪な環境の中で相当数の犠牲者がでたこともありました。

やがてソ連が崩壊したあと、90年代以降になって再びチェチェンでは分離独立運動が活発になります。

しかし2度に渡る凄惨な戦争を経て、プーチン政権下、チェチェン解放の動きは力で封じ込まれてしまったのです。

以来ロシアは、チェチェン人によるサボタージュを、テロ行為として、同時多発テロ事件以降テロとの戦いを宣言したアメリカの動きに同調しようとします。

ロシアを牽制する意味からも、チェチェン問題に複雑にからもうとしていたアメリカとしては、皮肉な同調ともいえそうです。

アメリカでボクサーとして身を立てようとしていたタメルランは、その後こうした背景をもつ祖国との間を何度も往復し、次第にイスラム教を狂信するようになりました。

そんな過程で、彼はガールフレンドへの暴力行為による逮捕歴もつき、さらにロシアとアメリカ双方から、狂信的イスラム組織と関わりのある人物としてマークされるようになったのです。

ジョハルは、そんな兄タメルランを追いかける無邪気な子供だったと周囲は語っています。

ジョハルは兄の影響を受けてイスラム教や祖国の問題に興味は抱いていたものの、彼のTwitterへの投稿などからみえてくる姿は、ごく普通のアメリカの少年だったようです。

ただ、事件がおきる前、ジョハルは大学の成績不振に悩み、マリファナに手をだすなどしていたと、友人は語っています。

タメルランはボストンでのテロ行為のあとの銃撃戦が原因で病院に収容されたあと死亡。

兄とともにテロに参加したジョハルだけが逮捕されました。

ボストンのあるマサチューセッツ州は死刑制度のない州でしたが、事件が国家に対するテロ行為であるとして、州ではなく連邦(Federal)によって裁かれるケースとして、ジョハルは起訴されたのです。

その結果、死刑判決が15日におりたのでした。

チェチェンでの紛争、政治的な混乱を逃れてアメリカにやってきた難民の一家。

その兄弟の心におきた変化を見詰めるとき、「罪を憎んで人を憎まず」という言葉がふと心をよぎります。

犯したことは重大です。

しかし、彼らをそこに導いた世界情勢や社会の軋轢を無視してこの事件に蓋をすることは、新しいチェーンリアクションの原因となるはずです。

2日前に、ニューヨークのJFK空港に着いてタクシーに乗れば、その運転手は明らかに中東からのイスラム教徒でした。

彼は、携帯を通して友人とアラビア語でしゃべりながら、私をマンハッタンまで送り届けます。

これは、アメリカでもロンドンでも、今では世界のあちこちでごく普通に接する光景です。

こうした人々の心の中に、ジョハルへの判決が、そして最近世界を震撼させているイスラム原理主義者の過激な行動がどのように響いているのか。

外見からだけでは、それを知ることは不可能です。

もちろん外見から偏見を持つことも強く戒めたいものです。

ボストンマラソンのテロ事件は、今回の判決でさらに色々な課題を我々に投げかけているのです。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

Let’s create the society where people can respect the difference of the personality. Nails popping up must be pulled and appreciated.

【日本語tweet】

他と違うと出る杭は打たれるというけれど、世界で通用する人間は突出した人格でなければ。多様で人と異なる人が沢山集まる社会を造れるかどうか、それが日本の課題では。人との違いを嫌わず人との違いを楽しみ、尊重する。個性を堂々と披露できる環境をまず教育現場から、家庭教育から考えてほしい。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「日本人のしぐさ」

です。

笑えて、ためになる、異文化交流本。

日本人には当たり前でも、外国人が戸惑ってしまう日本人のしぐさを、写真と日英対訳で楽しく紹介します。

「お辞儀」、「いただきます」、「土下座」などといった日本独特のジェスチャーを、外国人にわかりやすく、そして楽しく説明する方法が学べます。

スラング、子供のジェスチャーに至るまで、幅広く70を厳選。

日本文化の一面を、気軽に紹介できる一冊です。

日本人のしぐさ
70 Japanese Gestures - No Language Communication (日英対訳)
著者:ハミル・アキ
価格:1,620円

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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

発行者 山久瀬洋二
公式ブログ http://yamakuseyoji.com/
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。
Email yamakuseyoji@gmail.com

山久瀬洋二お薦めの書籍

・対訳 TOKYO CITY GUIDE 観光客をもてなす極上のスポット

・HEALING SPEECH ヒーリング・スピーチ

・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan 英文版武士道

・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES 対訳 京都の寺社


2015年5月5日火曜日

ボルチモアでの暴動から見えること

こころをつなぐ英会話メルマガ

今日の目次です。

1.ニュースなイングリッシュ
~ボルチモアでの暴動から見えること~

2.Twitterえーわー!
二カ国語で同じ意味を同時tweet!

3.山久瀬洋二お薦めの一冊
~海外メディアから読み解く世界情勢~

では、始まりです。

 1. ニュースなイングリッシュ

海外のメディアで報じられたニュースを解説します。日本のマスコミではあまり報じられない切り口で、本当はどういう意味で報じられているのかを私見を交えてお伝えします。

今週のテーマは、

「ボルチモアでの暴動から見えること」

です。


【海外ニュース】



Rage to Relief in Baltimore as 6 Officers Charged in Death

訳:ボルチモアは怒りから安堵へ、6人の警察官を殺人罪で告発 (NY Times より)


【ニュース解説】

この一週間、アメリカ東部のボルチモアは厳戒体制にありました。

警察官の不当な扱いと対応によって、黒人の被疑者が死亡した事件をめぐって、人種差別、人権侵害だと訴える人々の怒りが暴動へとエスカレート。騒然とした状況が続いていたのです。

去年の夏、セントルイスの郊外で白人の警察官が黒人少年を射殺した事件以来、こうした悲劇がアメリカ各地で頻繁におきています。

ネパールの地震や、安倍首相の訪米などのニュースに隠れがちなこのニュース、アメリカでは毎日新聞の一面を割いています。

そして、来年の大統領選挙を前に、こうした人種対立や、貧富の格差の問題が、現実の事件として多発している状況に、連邦政府もそれぞれの地域の人々も、ただ当惑を隠せないというのが実際の状況です。

では、こうした事件を報道するとき、日本人はそれをどのような視点でみればいいのでしょうか。

アメリカには差別は存在するのでしょうか。そして偏見はそこまで深刻な社会問題なのでしょうか。

日本人として、アメリカでのおきる人種対立についてのニュースを解説するとき、私には必ず注意するポイントがあります。

それは、こうした事件こそ、アメリカの社会と日本の社会との違いをしっかりと把握した上で解説しない限り、ニュースの本質が伝わらないと思うからです。

まず、確かにアメリカには人種間の対立もあれば、偏見もあります。

そこに格差社会の歪みが発火点となり、暴動や暴行事件という悲劇が頻発していることも事実です。

しかし、忘れてはならないことは、日本人に間にも、外国人への偏見や格差社会の歪みがあるというポイントです。

よく、「アメリカ人はやはり有色人種を蔑んでいる」というステレオタイプな報道や解説がありますが、こうした事件をそのステレオタイプに直結させる安易なスタンスには警鐘を鳴らしたいのです。

アメリカは元々移民社会なので、多様性が日本とは比較にならないほど、社会の隅々まで浸透しているのです。事件は、そうした多様性の中でおきている悲劇なのです。

興味深いのは、今回事件をおこした警察官を裁く検察官も黒人系の人で、さらにその決定を不服として、検察官と対立する見解を発表した警察署の関係者も黒人系の人だったということです。

アメリカ社会でおきるこうした事件は「白人と黒人の対立」という単純な図式では測れません。

もてる者ともたざる者という縦糸と、移民や宗教、人種、政治的背景といった横糸とが絡まり縺れて、こうした事件がおきているのです。

実際、今回ボルチモアでおきた被疑者の死亡事件に関わった警察官の内の3名は白人系、他の3名は黒人系だったのです。

さらに、この6名を裁くことになった、Marilyn Mosby というボルチモアの District Attorney(地区検事-検察長官)が、極めて有能な黒人女性だということもここで解説しておきます。

彼女の祖父は黒人が警察官となった第一世代の警察官です。

それから半世紀以上経過した現在、彼女は主要都市の検察長官としては最も若い長官として脚光を浴びているのです。

アメリカ社会のこうした側面を理解し、その上で今おきている人種差別などに起因する暴動を見ていると、人種問題という以上に、社会のエスカレータに乗った人と、乗れない人との新たな対立項が見えてくるのです。

日本では警察と検察は縦社会の図式の典型といわれるほど、上下関係があり、かつ刑事事件などでは、この二つの組織が一体となって事件を処理しているといっても過言ではありません。

今回、ボルチモアの事件では、被疑者を死に至らしめた警察官の罪を検察官が問うにあたって、警察署が記者会見で検察官の行為を批判し、問題となった警察官の行動は妥当だったと強調した場面がありました。

メディアを前に、検察と警察が別々に会見し、異なる見解を述べることも、アメリカならではの「多様性」といっても過言ではないと思います。

今回の、ボルチモアでの事件は、日本社会の常識から距離をおいた報道の視点が求められる典型的な事例といえそうです。


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 2.Twitterえーわー!

毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。

【英語tweet】

Study English through real action & communication instead of the armchair theory given by a school education. Get practical experience.

【日本語tweet】

はじめてアメリカに行った頃、電話にでるのが怖かったものです。英語がわからず、電話だと表情もみえません。これを克服したのは、アメリカの社会がどうなって、どんなシステムで動いているかを知ることからでした。すると、英語の理解力ではなく、社会への理解力から英語がわかるようになったのです。


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 3.山久瀬洋二お薦めの一冊

今週のお薦めは、

「海外メディアから読み解く世界情勢」

です。

英語で海外のニュースを読もう!海外ではトップニュースでありながら、日本国内ではあまり大きく報じられなかった時事問題の数々!

今の世界情勢を把握するためにもしっかりと理解しておきたい時事問題を、海外メディアはどのように報道したのか?本書ではその内容を日英対訳で詳細に解説。

最近の時事英語で必須のキーワードもしっかり学べます。

英語だけではなく、海外情勢の読み解き方も、山久瀬洋二がお教えします。

海外メディアから読み解く世界情勢
(日英対訳)
著者:山久瀬洋二
価格:2,376円

中身はこんな感じ↓↓↓


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今回は、ここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?

皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。

See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。

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山久瀬洋二お薦めの書籍

・対訳 TOKYO CITY GUIDE 観光客をもてなす極上のスポット

・HEALING SPEECH ヒーリング・スピーチ

・留学の真実

・BUSHIDO The Soul of Japan 英文版武士道

・DISCOVERING KYOTO IN TEMPLES AND SHRINES 対訳 京都の寺社