今日の目次です。 1.世界の心の交差点で ~歴史と異文化、繊細さと鈍感さの狭間とは~ 2.Twitterえーわー! 二カ国語で同じ意味を同時tweet! 3.英語で一言 ~Why から Because へ~ 4.山久瀬洋二お薦めの一冊 ~日本人だけが知らない難解英単語~ |
では、始まりです。
1. 世界の心の交差点で |
コミュニケーションの誤解と背景を解説します。
今週のテーマは、
「歴史と異文化、繊細さと鈍感さの狭間とは」
です。
上海でのことです。
フランス人のビジネスパートナーと豫園 (上海の庭園) を散歩していたときのことです。
一人の白人系の女性が私に話しかけてきました。
「豫園の近くでお昼を食べるのは、どこがいいかしら。」
「そうだね。庭園の外の池の周りに中華レストランがあって、そこの飲茶が美味しいから試してみたら。」
すると彼女曰く、
「外国人でも気軽に入れるのかしら。」
「そう思うけど。僕もさっきランチをしたばかりだし。」
「え、あなた海外の人?私てっきりガイドかと思った。ごめんなさい。」
そう彼女は言うと、そそくさと私の側を離れていきました。
その会話の一部始終を横にいたフランス人の友人は聞いていましたが、全く気にしていない様子。
そこで、私は言いました。
「失礼だよね。これって欧米の人がアジア人をみるある種のステレオタイプだよ。偏見というか何というか。」
すると、フランス人の友人が答えて曰く。
「でもさ。彼女は君を中国人だと勘違いしただけだろ。別に偏見があったわけではないと思うけど。」
欧米の人とアジアの人が一緒に観光地を歩いていると、アジア系の人がガイドと間違えられます。
そこが中国で日本人と中国人との区別はつきにくいものの、それでもそこには裕福な欧米人観光客が途上国 (今では新興国) のアジアでガイドを雇っているのがごく自然に思えるという、
ステレオタイプじゃないのかなと、私は納得できない不満を感じてしまったというわけです。
それから、一週間して東京で、アフリカ系アメリカ人の友人とランチを一緒にしたときに、彼はいかに黒人が白人系の人々の偏見にいまだに晒されているか、私に色々な例を挙げて語りだしました。
そこで私は、
「いえね。アジア系の人も色々なステレオタイプと闘っているよ。」
と言って、上海での一件について語ってみました。
すると、彼は即座に、
「ほらね。よくわかるよ。そうしたことを偏見だと彼らは思わないんだよ。」
と私の意図が分かってくれたのです。
「そのフランス人だって、そこで起きたことに、なぜ君がこだわるか分からなかったろ?」
彼は、私にそう質問したのです。
「そうなんだよ。それは考え過ぎだって、言われてね。どう反論しようか困ってしまった。」
「いやいや、彼らには分からないよ。常に差別を受けたり、侵略を受けたりした立場の人が、いかにちょっとしたことに繊細になるかなんて。」
「まあね。このこと、日本人と近隣のアジアの人との間にもいえるんだろうね。自分が経験してみないと分からないことってあるもんだ」
「そうさ。いわゆる白人という連中の多くは、自分たちが偏見の対象になったことがないからさ。多分こちらが説明すればする程、考え過ぎだよという答えに終始するんじゃないかな。」
さらに、それから2ヶ月して、ヨーロッパで再びそのフランス人の友人と食事をする機会がありました。
彼も私と同様に異文化環境でのビジネスコミュニケーションについてコーチングやコンサルティングをやっている人物で、特にヨーロッパ系の会社の人にアジアでのビジネスについてコンサルティングをしていることもあって、その機会に再び上海での一件について私は話題にしてみました。
「あのさ、この前の上海の件、こう考えてみたらどうだろう。もし僕がパリで君と一緒に観光地を歩いていたとする。すると、そこにいる欧米の旅行者は、君をガイドだと思うだろうか?」
「うーむ。成る程ね。確かにそうは思わないよ。」
「だろう。だから、これは欧米の人のアジアなどでの一つのステレオタイプなんだよ。その向こうにはアジアを植民地にしていた頃からの長い歴史の積み重ねがあるというわけ。」
「そうか。言われてみるとそうかもしれない。でも、彼女はそんな深い気持ちで言ったんじゃないと思うよ」
「もちろん。彼女はきっとアジアの文化が好きなリベラルな人かも。でも、だからこそ、その無意識な中に眠る意識を、傷ついてきた人々は敏感に察知するというわけさ。」
その日は、この話題で結構盛り上がりました。
過去に歴史的な歪みや不幸があったことが、未だ異文化でのコミュニケーションに影を落とすことはしばしばあるもの。
これは、そんなことを象徴するちょっとした一コマだったのです。
バックナンバー(山久瀬洋二ブログ)
2.Twitterえーわー! |
毎日、英語と日本語で同じことをつぶやいてます。
間違いやすい英話や異文化コミュケーションのコツをお伝えしています。
中でもリツイートやお気に入りの多かったtweetをご紹介します。
【英語tweet】
It has been rainy all day. By the way, it is convenient to know the expression of rain check if you want to cancel the appointment.
【日本語tweet】
今日は1日中雨でした。ところで、雨といえば、take a rain check という言葉を知っていると便利です。食事などを断ったり、延期したりするときに、I want to take a rain check. といって相手に欠席を知らせます。
山久瀬洋二twitter はこちら
3.英語で一言 |
今回のテーマは、
「Why から Because へ」
です。
ビジネスで使う英語は、学校で習う英語とは異なるという人が多くいます。
確かに一理ある指摘です。
しかし、だからといって、学校で習得した英語が全く役に立たないかというと、そうではないことは明らかです。
要は、学校での知識を利用しながらも、それだけに頼らずに、いかに応用し、臨機応変に変化させられるかが課題なのです。
例えば、Because は接続詞だと学校で習います。それはその通りですし、何も間違いではありません。
しかし、実際のビジネスでは必ずしも Because は接続詞の用法の通りには使用されません。なぜでしょう。
それは、海外の人が遠慮せず、Why を連発してくることにあります。相手を攻撃しようとしているのではなく、単純に提案やステートメントについてその意図を確かめたいと彼らが思っているからです。
しかし、日本人は Why といわれると、攻撃されていると勘違いして、立ち往生してしまうことが往々にしてあるようです。
Why? ときかれれば、あたかもテニスのボレーのように Because といって対応すればいいのですが。
次の例文に注目してください。
Let’s visit their office tomorrow.
Why?
Because they are about to make a decision to purchase our product. We need to give them one more push.
(なぜなら、彼らは我々の商品を購入することを決めようとしているから、もう一押しするんだよ)
この会話では、Because は接続でありながら、単に「なぜなら」という意味で使用されています。
文法的には正しい英語かどうか疑問です。
しかし、最初の Let’s visit their office tomorrow. という文章と Why? のあとの文章を繋ぎ合わせれば、because が見事に接続しとして機能し、一つの文章になっていることがわかるはずです。
英語を母国語とする人との会話は、えてして会話の途中でいきなり相手から質問されたり、コメントされたりと、正にテニスの打ち合いのようになってしまいます。
ですから、時にはこのように、文法は後回しにして、前の文章を巧みに繋いで相手に対応する即応力が求められるのです。
学校で学んだ英語は大切です。しかし、それに固執するのではなく、実際の世界に適合させることを念頭に、この事例のように表現を柔軟に変化させ、対応してゆくことが大切なのです。
4.山久瀬洋二お薦めの一冊 |
今週のお薦めは、
「日本人だけが知らない難解英単語」
です。
初中級レベルを脱したい学習者のための単語集です。
阿部一先生が世界中の新聞・雑誌・書籍・対談資料などから精選した250ワード。
これらは全て国際社会で活躍するグローバル人材には欠かせないものであり、中級と上級を分ける判定基準となる語彙です。
どれも海外では日常的に使われ、重要な単語でありながら、日本人の回答率は非常に低いものばかり。
これらの単語を身に付け、学習者のためではない、本当の英語の世界に踏み出しましょう!
日本人だけが知らない難解英単語
著者:阿部 一
著者:山村 啓人
価格:2,160 円
今回は、ここまでです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
今週の「心をつなぐ英会話メルマガ」如何でしたか?
皆様のご意見・ご感想、ご質問・ご批判、お待ちしています。
See you next week !
また、読んでくださいねー。
さよならー。
発行者 | 山久瀬洋二 |
公式ブログ | http://yamakuseyoji.com/ |
ご意見・ご感想等、お待ちしてます。 | |
yamakuseyoji@gmail.com |
山久瀬洋二の執筆活動
・異文化摩擦を解消する英語ビジネスコミュニケーション術
・英語で聞く世界を変えた女性のことば
・日本人が誤解される100の言動
・英語で読むスティーブ・ジョブズ
・気がつけばバイリンガル 英語日和
他多数